予算配分か、役割評価か?「再配分コンバージョン」と「間接効果」の最適な使い分け

1.はじめに
前回では、サイトに訪れたユーザーがコンバージョンに至るまでの「経路」を確認しました。しかし、アドエビスでの分析の目的はサイト内の動きを知るだけではありません。その手前にある「広告施策」が、最終的な成果に対してどの程度貢献したのかを正しく評価することが重要です。
アドエビスを利用する中で、多くの方が「再配分コンバージョンと間接効果、結局どちらを見ればいいの?」という疑問に直面します。本記事では、この2大指標のロジックの違いを整理し、施策の良し悪しを判断するための明確な使い分け基準を解説します。
1-1.この学習でのゴール
- 「再配分コンバージョン」と「間接効果」の計算ロジックの違いを正しく理解する
- 分析の目的に合わせ、どの指標をどう使うべきかを判断できるようになる
- 日々の運用調整や社内報告に活かすための具体的な評価基準を導き出せるようになる
1-2.こんな方にオススメ
- SNS広告や動画広告など、ラストクリックだけでは成果が見えにくい施策を運用している方
- 媒体ごとの予算配分の根拠をデータで示したい方
- 現場の運用担当者として、より精緻なPDCAを回したい方
2.ロジックの違いとデータの見え方
アドエビスでは、ラストクリック以外の貢献を評価する「アトリビューション指標」として、主に以下の3つを提供しています。
- 初回接触
ユーザーが最初に接触した施策を評価する - 再配分コンバージョン
1件のコンバージョンを、接触したすべての施策に「分配」して評価する - 間接効果
コンバージョンに至る道中で、ラストクリック以外に接触した回数を「カウント」して評価する
特に迷いやすい「再配分コンバージョン」と「間接効果」の決定的な違いは、「1件のコンバージョンを分けるのか、それとも貢献した事実をすべて数えるのか」という点にあります。
「1コンバージョンを分ける」か「貢献を数える」か
例えば、あるユーザーが「媒体A →媒体B → 媒体C」の順にクリックしてコンバージョンした場合、データの見え方は以下のようになります。
| 指標 | 媒体A | 媒体B | 媒体C | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 直接効果(ラストクリック) | 0 | 0 | 1 | 1 |
| 再配分コンバージョン(均等配分) | 0.33 | 0.33 | 0.33 | 1 |
| 間接効果 | 1 | 1 | 0 | 2 |
※均等配分......再配分コンバージョン算出モデルであり、直接効果/間接効果/初回接触を均等に評価するモデル。
詳細はこちら。

この違いにより、評価が逆転することがあります。例えば「媒体B」が多くのユーザーに2回、3回と繰り返し接触している場合、再配分コンバージョンでは「1件を細かく分けるため数値が低く出る」一方で、間接効果では「接触した回数分だけ評価されるため数値が高く出る」という現象が起こります。
どちらの指標で評価するかは、「その広告に何を期待しているか(役割)」によって決める必要があります。
3.PDCA活用シーン
費用対効果を加味して「予算配分」を最適化したい時
推奨指標:再配分CV
基本的には「再配分コンバージョン」を確認することをおすすめします。理由は、1件のコンバージを1件として計算するため、売上や予算と紐付けた「費用対効果(TCPA)」の評価がしやすいからです。
現場での活用テクニック
社内報告でいきなり「再配分コンバージョン」を使うと、従来の「コンバージョン」と乖離が出て混乱を招くことがあります。その場合は、以下のように使い分けましょう。
- 最終報告
従来の「コンバージョン」「CPA」で報告。 - 日々の運用
「再配分コンバージョン」と、それに基づく「TCPA」を見て入札や予算配分を調整。
また、各媒体の間接的な貢献度も含めた基準を設定するため、以下の計算式で「許容CPA」を算出するのも有効です。
計算式:再配分CV数 ÷ ラストCV数 × 目標CPA = 許容CPA
※これにより、アシスト力の高い媒体の評価を不当に下げずに済みます。
媒体やクリエイティブの「認知・興味喚起力」を測りたい時
推奨指標:間接効果
ユーザーに何度も接触して興味を引くことが目的の施策や、コンバージョンユーザーの検討プロセスにどれだけ入り込めているかを評価したい場合は「間接効果」が適しています。
現場での活用テクニック
間接効果は「接触すればするほど評価が高くなる」ため、過大評価に注意が必要です。以下の2つの工夫を取り入れましょう。
- 接触回数に制限を設ける
「5回以上の接触は、もはや認知に寄与していない」と定義し、間接2〜5回目までの合計を評価対象とするなど、Excel等で加工して分析します。 - クリックの質(サイト内行動)とセットで見る
間接効果が高い施策について、前回のカリキュラムで学んだ「直帰率」や「平均滞在時間」を予備的に確認します。流入後の検討が浅ければ、それは「質の低いクリック」であると判断できます。
4.おわりに
「再配分コンバージョン」と「間接効果」は、どちらが優れているかではなく、「予算の最適化(再配分コンバージョン)」か「役割の特定(間接効果)」か、という目的の違いで使い分けるものです。
まずは、評価したい施策に対して「1件の成果をどう分け合うのが公平か」を考えることから始めてみてください。指標が定まれば、次の一手は自ずと見えてきます。
次回は、これらのアトリビューション指標をさらに実務へ落とし込むための、「TCPAやTROASを用いた評価方法」について詳しく解説します。





