「損切り」から「攻め」の判断へ!TCPA/TROASで変わる広告予算配分の新常識

1.はじめに

前回は、コンバージョンへの貢献度を全接触に割り振る「再配分コンバージョン」の考え方について学びました。

しかし、マーケティングの現場で最も重要なのは「結局、その広告にいくら投資すべきか」という判断です。今回は、再配分コンバージョンを「コスト」の視点で捉え直した指標、「TCPA(Total CPA)」と「TROAS(Total ROAS)」を用いた具体的な評価方法を解説します。

この記事を読み終える頃には、単なるコスト削減(損切り)ではなく、未来の利益を作るための「攻めの予算配分」ができるようになります。次回は、これらの指標を活かして各広告媒体の「性格」を見極める方法へと進んでいきましょう。

1-1.この学習でのゴール

  • CPA評価では「切り捨て対象」となっていた広告の「真の貢献度」を数値で証明できる。
  • TCPA/TROASの数値を元に、広告予算の維持・増額・縮小を論理的に判断できるようになる。

1-2.こんな方にオススメ

  • 目標CPAを超過しているため、配信停止を検討している広告がある方
  • バナー広告や動画広告など、認知施策の投資対効果を社内に説明できず困っている方
  • ラストクリック重視の運用に限界を感じ、売上最大化のための新しい指標を探している方

2.なぜ「CPA」だけでは不十分なのか?

Web広告の運用において、CPA(顧客獲得単価)は最も一般的な指標です。しかし、直接コンバージョン(ラストクリック)のみで算出する従来のCPAには、大きな落とし穴があります。

それは、「検討のきっかけを作った広告」や「検討を後押しした広告」が過小評価されてしまう点です。

例えば、ユーザーが「バナー広告」で商品を知り、「比較サイト」を経て、最終的に「指名検索」でコンバージョンしたとします。この場合、従来のCPA評価ではコンバージョン1件はすべて「指名検索」の手柄となり、最初にきっかけを作った「バナー広告」のCPAは高額になってしまいます。

2-1.新しい評価指標「TCPA」と「TROAS」

この問題を解決するのが、アドエビス独自の再配分ロジックを用いた指標です。

  • TCPA(Total Cost Per Action)
    広告コスト ÷ 再配分コンバージョン
  • TROAS(Total Return On Advertising Spend)
    (再配分売上金額 ÷ 広告コスト)×100

これらは、初回接触や中間接触の貢献度を加味した「本当の費用対効果」を表します。

2-2.実例で見る「評価の逆転現象」

ある不動産会社の資料請求キャンペーンを例に考えてみましょう(目標CPA:1,000円)。

従来のCPAによる評価(ラストクリック重視)

直接コンバージョンした広告のみを評価すると、以下のようになります。

広告・キーワード広告コストコンバージョンCPA判定
賃貸 東京10,000円2件5,000円× 停止検討
賃貸マンション 東京20,000円10件2,000円× 停止検討
賃貸マンション 1LDK15,000円20件750円○ 継続・強化

一見すると、「1LDK」のキーワードが優秀で、「賃貸 東京」や「賃貸マンション 東京」といったキーワードは効率が悪いため停止すべきに見えます。

TCPAによる評価(全接触の貢献を加味)

同じデータを、再配分CVを用いた「TCPA」で見直すと、評価が大きく変わります。

広告・キーワード広告コスト再配分CVTCPA判定
賃貸 東京10,000円12.5件800円○ 継続(逆転)
賃貸マンション 東京20,000円25.0件800円○ 継続(逆転)
賃貸マンション 1LDK15,000円10.0件1,500円× 効率化(逆転)
なぜ逆転したのか?
  • 賃貸 東京 / 賃貸マンション 東京
    直接コンバージョンは少ないものの、多くのユーザーがこれらをきっかけにサイトを訪れ、後にコンバージョンしていました。つまり「アシスト力」が非常に高いため、TCPAで見ると実は高効率だったのです。
  • 賃貸マンション 1LDK
    直接CVは多いですが、その多くは他の広告ですでに検討が進んでいたユーザーの「刈り取り」に過ぎませんでした。他の広告の助けを借りていたため、単体での真の貢献度は見た目ほど高くなかったといえます。

このように、TCPAを用いることで「一見効率が悪そうだが、実は全体に貢献している広告」を救い出すことができます。

2-3.アドエビス管理画面での確認方法

TCPA/TROASを確認するには、まず広告コストを登録する必要があります。登録後、以下の手順で確認しましょう。

  1. アドエビス管理画面の[広告]または[全トラフィック]配下の「カテゴリ分析」「詳細分析」などの画面を開く。
  2. 画面右上の「項目切替」をクリック。
  3. 表示項目の中から「TCPA」や「TROAS」にチェックを入れて適用する。

3.PDCA活用シーン

数値を確認したら、次は予算アロケーションのアクションに移ります。以下のマトリックスを参考に、広告の役割に応じた判断を下しましょう。

投資判断の2軸マトリックス(CPA × TCPA)

パターン状態アクション(PDCA)
CPA低 / TCPA低優良広告。直接獲得もアシストも強い。最優先で予算を増額し、さらなる拡大を狙う。
CPA高 / TCPA低「アシスト特化型」。直接は獲れないが、きっかけを作る重要施策。CPAだけを見て停止してはいけない。現状維持、または「認知枠」として予算を確保。
CPA低 / TCPA高「ラストクリック依存型」。他施策のおかげでコンバージョンしている。単体で予算を増やすと全体の効率が落ちるリスクあり。今の予算を維持しつつ、流入の質を精査。
CPA高 / TCPA高直接もアシストも弱く、貢献度が低い。予算削減、またはクリエイティブやLPの抜本的な見直し。

具体的な解決フロー

例えば、社内の会議で「CPAが悪化しているバナー広告を止めろ」と言われたら、TCPAを提示しましょう。「このバナーは直接コンバージョンは少ないですが、TCPAで見ると目標以下です。ここを止めると、検索広告のコンバージョンも30%減少するリスクがあります」という、データに基づいた対策が可能になります。

4.おわりに

TCPAやTROASは、広告の「真の価値」を可視化する指標です。

これまでの「CPA」の評価から卒業し、広告同士の連携を考慮した評価を取り入れることで、成果を先細りさせ得るコストカットを防ぎ、成果を最大化させるための投資判断ができるようになります。

「どの広告を残し、どの広告を攻めるべきか」に迷ったら、まずは管理画面でTCPAの項目を確認することから始めてみてください。

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