刈り取り広告以外を正しく評価する──再配分コンバージョンとTCPAで実現する投資の最適化

1.はじめに
前回まででは、広告の役割を「直接効果」と「間接効果」「初回接触」に分けて考える重要性を学びました。しかし、現場で「間接効果があった」と口頭で伝えるだけでは、具体的な予算配分の変更や施策の続行判断を下すのは難しいものです。
本記事では、これら「役割の違い」を具体的な数値として可視化し、客観的な投資判断を可能にする「再配分指標(再配分コンバージョン・TCPA・TROAS)」について解説します。この記事の内容をマスターすれば、刈り取り(ラストクリック)だけでは見えてこない、真に貢献している広告を見つけ出すことができるようになります。
なお、次回の記事では、本記事で学んだ指標を「期間比較」して改善成果を確認する具体的な手順を学習します。
1-1.この学習でのゴール
- 自社の商材特性やビジネスフェーズに合わせた最適な「再配分コンバージョンモデル」を選択できる。
- 再配分コンバージョン・TCPA・TROASの計算ロジックを理解し、画面上で数値を確認できる。
- CPA(直接効果)が悪くても、TCPA(再配分効果)が良い施策を「止めてはいけない広告」として正しく評価できる。
1-2.こんな方にオススメ
- リスティング広告(指名系)以外の、認知や検討を目的とした施策の評価に悩んでいる方。
- CPAの良し悪しだけで判断して広告を停止した結果、全体のコンバージョン数が減少してしまった経験がある方。
- 「アトリビューション分析をどう実務に活かせばいいか分からない」と感じている方。
2.再配分CVとは「貢献度のスコアリング」
アドエビスの「再配分コンバージョン」とは、1つのコンバージョンに至るまでに接触したすべての広告に対して、その貢献度をスコアとして割り振る指標です。
通常、1つのコンバージョンは「最後にクリックされた広告」に1件としてカウントされます。しかし再配分コンバージョンでは、例えば4つの広告に接触してコンバージョンした場合、それぞれの広告に「0.25(1÷4)」といった形でコンバージョンを分配します。(均等モデルの場合)

これにより、直接コンバージョンは取れていなくても「実はコンバージョンのきっかけを多く作っている広告」を数値で評価できるようになります。
3.自社に合った「再配分コンバージョンモデル」の選び方
貢献度をどのタイミング(初回、中間、最後)に重きを置くかは、自社のマーケティング戦略によって異なります。アドエビスでは以下の4つのモデルから選択可能です。
※カスタマイズも可能
| モデル | 特徴 | おすすめのケース |
|---|---|---|
| 均等配分 | すべての接触に1/nずつ平等に分配。 | 【推奨】 検討期間が長く、何度も接触が必要な商材。迷ったらまずはこれ。 |
| 初回/ラスト重視 | 初回とラストに大きな比重を置く。 | 認知と刈り取りの両方を重視したい。平均接触回数が2回以下の場合。 |
| 初回接触 重視 | 最初にユーザーを連れてきた広告を最大評価。 | 成熟フェーズ。新規ユーザーの流入を最優先したい場合。 |
| ラスト接触重視 | 最後に背中を押した広告を最大評価。 | 立ち上げフェーズ。まずは顕在層の獲得を確実に行いたい場合。 |
「再配分コンバージョンモデル」の設定方法はこちらをご確認ください。
モデル選びに迷ったら「平均潜伏期間」を確認
検討期間が短いのか長いのか判断がつかない場合は、管理画面の「コンバージョンフロー」から「平均潜伏期間」や「平均接触履歴回数」を確認しましょう。

- 平均接触回数が3回以上
「均等配分」で全ステップを評価するのが適切です。 - 平均接触回数が2回以下
「初回/ラスト重視」で入り口と出口を評価するのが効率的です。
4.評価を加速させる3つの重要指標
再配分コンバージョンをベースに、以下の指標を用いることで、より精緻なコスト効率での評価が可能になります。
1.TCPA(Total CPA)
- 計算式: 広告コスト ÷ 再配分CV
- 意味: 直接・間接を含めた「全貢献」を加味した1件あたりの獲得単価です。
2.再配分売上
- 計算式: 売上金額 × 再配分比率
- 意味: 売上金額を接触貢献度に応じて分配した売上額です。
3.TROAS(Total ROAS)
- 計算式: 再配分売上 ÷ 広告コスト × 100
- 意味: 間接効果を含めた広告費用対効果です。総合ECサイトなど、コンバージョンごとに売上金額が異なる場合に非常に有効です。
5.PDCA活用シーン
CPAだけで判断して「貢献メディア」を削減しないために
以下のような2つの広告メニューを比較してみましょう。
| 広告名 | コスト | コンバージョン(直接) | CPA(直接) | 再配分コンバージョン | TCPA |
|---|---|---|---|---|---|
| 広告A(指名検索) | 10万円 | 10件 | 10,000円 | 6.5件 | 15,384円 |
| 広告B(SNS広告) | 10万円 | 2件 | 50,000円 | 8.0件 | 12,500円 |
- CPA(第一指標)だけで見ると
広告Bは50,000円と高く、「効率が悪いので停止すべき」と判断されがちです。 - TCPA(第二指標)で見ると
広告Bは12,500円。実は広告Aよりも効率的にコンバージョンに貢献している(アシストしている)ことがわかります。
アクションフロー
1.カテゴリ分析画面を開き、「項目切替」で「再配分CV」と「TCPA」を表示します。


2.CPAが目標値をオーバーしている施策をピックアップします。

3.その施策のTCPAが「目標CPA」や「他施策」と比較して低い(良い)場合、その広告は「将来のコンバージョンを生み出す重要な入り口」です。予算を維持、あるいはクリエイティブを強化して流入を増やす判断を下します。
6.おわりに
再配分コンバージョンやTCPAは、必ずしも常にメインで使う必要はありません。まずはこれまで通り「CPA」を第一指標とし、判断に迷った際の「第二指標」としてこれらを活用することから始めてみてください。
「直接効果」という一つの側面だけでなく、再配分指標という「多角的な視点」を持つことで、機会損失を防ぎ、より自信を持った予算配分が可能になります。
次回は、これらの数値が改善施策によってどう変化したかを正しく捉えるための、「期間指定・期間比較の方法」について解説します。





