ITP(Cookie規制)に左右されない!「ITP対応プログラム」で実現する366日間の高精度計測

1.はじめに
前回まででは、サイト内のどのコンテンツが成果に寄与しているかを可視化する「サイトコンテンツ機能」について学習しました。
分析の対象となる「データ」が手元に揃い始めると、次に重要となるのがそのデータの「精度」です。現在、Apple社のSafariブラウザなどを中心に、プライバシー保護を目的としたCookie規制「ITP」が強化されています。本記事では、この規制によるデータ欠損を防ぎ、アドエビスの計測精度を最大限に高めるための「ITP対応プログラム」について解説します。
なお、次回の記事では、別の角度から精度を補完する「NS/CNAMEリダイレクト」についても触れていきます。
1-1.この学習でのゴール
- 「ITP対応プログラム」の仕組みを理解し、なぜ計測精度が上がるのかを説明できる。
- JavaScriptによる計測とプログラムによる計測の「有効期限の違い」を把握する。
- 自社の商材特性に合わせて、プログラム導入の必要性を判断できる。
1-2.こんな方にオススメ
- iPhoneユーザーやSafariブラウザからの流入割合が高いBtoC商材の担当者
- 検討期間(初回接触からコンバージョンまで)が7日を超える商材の担当者
- Cookie規制を全く受けない計測基盤を作りたい方
2.なぜ今「ITP対応プログラム」が必要なのか
これまでで学んだ通り、アドエビスは「Cookie(クッキー)」を利用してユーザーを識別しています。しかし、現在の主要なブラウザ(特にSafari)では、ユーザーのプライバシー保護のため「JavaScriptを使って発行されたクッキー」の有効期限を、最大で7日間(条件によっては即時)に制限しています。
これが何を意味するかというと、ユーザーが広告をクリックしてサイトを訪れても、8日後に再来訪したときには「別のユーザー」として扱われてしまうということです。これでは、初回接触の広告効果を正しく評価することができません。
この課題を解決するのが、アドエビスの「ITP対応プログラム」です。
2-1.プログラムの仕組み:サーバーサイドでのクッキー発行
「ITP対応プログラム」とは、計測サイトのWebサーバー上で動作する専用のプログラムを設置することで、ブラウザ側(JS)ではなく、サーバー側でクッキーを発行する仕組みです。

| 比較項目 | 標準タグのみ (JavaScript発行) | ITP対応プログラム併用 (サーバー発行) |
|---|---|---|
| クッキーの有効期限 | 最大7日間 | 366日間 |
| ITP規制の影響 | 強く受ける (期限を短縮される) | 回避できる (本来の期限を維持) |
| 計測の正確性 | 8日以上経過してからの 再訪でデータが途切れる | 366日の継続的な追跡が可能 |
サーバーサイドから発行されたクッキーは、ブラウザ側から見ると「信頼性の高いクッキー」とみなされるため、ITPによる有効期限の短縮を受けず、アドエビス本来の計測期間である「366日間」を維持することができるのです。
2-2.導入による具体的なメリット
- 「間接効果」の取りこぼしを防ぐ
初回接触からコンバージョンまで時間がかかる商材(不動産、自動車、BtoBツール等)においては、過去の広告接触履歴が消えないため、正しいアトリビューション分析(間接効果測定)が可能になります。 - 媒体数値との乖離を抑制
クッキーの分断による「コンバージョンの重複計上」や「新規ユーザーの過大評価」を防ぎ、より実数に近い数値をレポートに反映できます。
3.PDCA活用シーン
ケース:検討期間が長い「高単価BtoC商材」での分析
ある学習塾の事例では、ユーザーが資料請求(コンバージョン)に至るまでの平均日数が15日間でした。
プログラム未導入の場合
ユーザーが10日に1回サイトを訪れていても、7日以上間隔が空くたびにCookieがリセットされます。
その結果、最初に「SNS広告」に接触していたとしても、管理画面上では「違うユーザーが、最初から自然検索(または直近の広告)で訪れてコンバージョンした」ように見えてしまいます。
これでは、最初にきっかけを作った「SNS広告」の貢献がゼロになってしまいます。
プログラム導入後の運用
15日前の初回接触データが保持されるため、「最初にSNS広告で興味を持ち、その後比較サイトを経て、最終的に指名検索でコンバージョンした」という一連の流れが1本の線でつながります。
次にすべきアクション:
「ラストクリック(コンバージョン直前の流入)」だけを見ていると、成果の少ないSNS広告の予算を削ってしまいがちです。しかし、ITP対応プログラムによって「SNS広告が初回接触として大きな役割を果たしている」ことが判明すれば、「認知拡大のためにSNS広告の予算を維持、または増額する」といった、データに基づいた攻めの意思決定が可能になります。
4.おわりに
ITP対応プログラムは、アドエビスが提供する「高精度な計測」の根幹を支える非常に重要な設定です。設定にはサイトを管理しているシステム担当者様による設置可否の確認と設定作業が必要となりますが、一度設置すればその後は長期間にわたって精度の高いデータを蓄積し続けることができます。
もし、「自社商材の検討期間が長い」「iPhone/Safariユーザーが多い」と感じている場合は、まずは現状の計測環境を確認し、導入を検討してみましょう。
次章では、ITP(Cookie規制)に対するもう一つの強力な対策である「NS/CNAMEリダイレクト設定」について詳しく解説します。





