そのSNS広告、本当に「効果なし」?通常計測では見えない貢献度をAI推定で解決する方法

1.はじめに

前回まででは、コンバージョンに至るまでの「ユーザー経路の可視化」について学び、複数のタッチポイントがどのようにコンバージョンへ貢献しているかを確認しました。しかし、どれだけ詳細に経路を追おうとしても、実務の中で大きな「壁」にぶつかることがあります。それが、ユーザーがデバイスやブラウザを跨いで移動した際に起きる「データの分断」です。

現代のユーザーは、スマートフォンのSNSアプリで商品を知り、後日PCやSNSアプリとは異なるブラウザで検索して購入するといった行動を当たり前に行っています。この「当たり前の行動」が、計測ツール上ではどう見えているのでしょうか。そして、なぜツールによって特定の広告媒体が「有利」になったり「不利」になったりするのか。今回はその核心に迫ります。

1-1.この学習でのゴール

  • デバイスやブラウザを跨ぐことで起きる「データの分断」が、広告評価に与える大きな影響を理解する。
  • GA4の仕様によって生じる、特定媒体の「過小評価」のメカニズムを把握する。
  • アドエビスの「AI推定クロスデバイス分析」が、複雑なユーザーフローでも精度高く評価できる理由を理解する。

1-2.こんな方にオススメ

  • Meta、LINE、X、TikTokなどのSNS広告を運用しており、管理画面の数値と実際のコンバージョン数に乖離を感じている方。
  • GA4のデータを根拠に予算配分を決めているが、他媒体の貢献度が正しく反映されているか疑問を感じている方。
  • ユーザー動線的に、クロスデバイスやクロスブラウザが発生しやすいサイトを運営している方

2.なぜ、ユーザーの足跡は途切れるのか?

私たちが普段何気なく行っているインターネット上の行動は、実は計測ツールにとって非常に追いかけづらいものです。その最大の原因は「Cookie」と呼ばれる仕組みにあります。
(※Cookieの詳しい技術仕様については、次回のカリキュラムで解説します)

Cookieは「ブラウザごと」に付与されるため、例えば以下のようなケースではユーザーの足跡は途切れてしまいます。

  • アプリ内ブラウザからの移動:
    LINEやInstagramのアプリ内でリンクを開き、その後SafariやGoogle Chromeなどの標準ブラウザで開き直したとき。
  • デバイス間の移動:
    通勤中にスマートフォンで広告をクリックし、帰宅後に自宅のPCでサイトを訪問したとき。

このように足跡が途切れると、ツール側は「全く新しい別の人が来た」と認識してしまいます。その結果、本来はSNS広告がきっかけだったにも関わらず、コンバージョンの直前に検索で流入した行動だけが評価されたり、流入元不明(ダイレクト)として処理されたりしてしまうのです。

2-1.GA4の現状:Google広告に偏る「評価の不平等」

現在、多くの企業がアクセス解析ツールとしてGA4を利用しています。しかし、GA4で広告の成果を評価する際、気をつけなければならない「仕様による偏り」が存在します。

GA4はクロスデバイス/ブラウザしたユーザーの補完計測を行う際、主にユーザーがサイトにログインした際の、ログインIDなどの「User-ID」を使って計測できますが、サイト側でのUser-IDの実装が必要なため、実装ハードルが高いです。

また、Googleは自社のプラットフォーム(Google検索、YouTube等)とGoogle広告の連携が極めて強力なため、Google広告経由の行動はGoogleアカウントを通じて紐付けられやすい傾向にあります。

一方で、MetaやLINE、LINEヤフー広告といった他社媒体は、GA4内ではデバイスやブラウザを跨いだ瞬間に紐付けが切れてしまい、結果として過小評価される「不平等」が生じやすくなります。

2-2.アドエビスでの解決策:特許取得の「AI推定クロスデバイス分析」

この「媒体間の不平等」を解消し、精度の高いクロスデバイス計測を実現するのが、アドエビスの「AI推定クロスデバイス機能」です。アドエビスでは、全ての流入元を「同じ物差し」で評価します。

  • ログイン不要の紐付け能力:
    サイト側の仕様(User-ID)に依存せず、IPアドレスやブラウザ情報、アクセス時間、行動パターンなどの膨大なログをAIが解析。「このスマートフォンユーザーと、このPCユーザーは同一人物である」と、一部コンバージョンを類推によって紐づけます(精度は90%以上と検証済み)。
  • 全媒体共通のロジック:
    Google広告も、SNS広告も、純広告も、すべてアドエビス独自の共通基準でクロスデバイス計測を行います。これにより、媒体ごとの計測精度の差に左右されない、フラットな比較が可能になります。

3.PDCA活用シーン

【ケーススタディ】「効果なし」と判定されたSNS広告の価値を明らかに

あるBtoB企業では、新規リード獲得のためにMeta広告とGoogle検索広告を出稿していました。

GA4で成果を確認すると、Google検索広告からは安定してコンバージョンが発生しているものの、Meta広告の直接コンバージョンはゼロ。「CPAが見合わないため、Meta広告は停止してGoogle広告に予算を寄せよう」という判断が下されそうになっていました。

しかし、アドエビスのAI推定クロスデバイス機能でユーザーの行動経路を可視化したところ、全く異なる事実が判明しました。

実は、多くのユーザーが「Meta広告を見てサービスを認知し、後日サービス名で指名検索をして資料請求」という行動をとっていたのです。

GA4ではスマートフォン(Meta)とPC(Google検索)が分断されていたため、Meta広告は「効果なし」と判定されていました。しかしアドエビスによって「Meta広告が認知の起点となり、PCでの検索コンバージョンを生み出している」という真の貢献度が可視化されたのです。

【次のアクション】

この事実をもとに、同社はMeta広告の停止を取りやめ、逆に「認知を広げるための重要な投資」として予算を維持・最適化しました。結果として指名検索のボリュームが維持され、全体のコンバージョン数を底上げすることに成功しました。

4.おわりに

ユーザーの行動が多様化し、複数デバイスを使い分けるのが当たり前になった現在、表面的な直接コンバージョンや、特定の媒体に有利なデータだけで予算配分を決定するのはリスクがあります。

アドエビスのAI推定クロスデバイス機能を活用することで、データが途切れる「分断の壁」を乗り越え、全ての施策を同じ物差しで公平に評価する「攻めの予算配分」が可能になります。

ここまで、アドエビス独自の計測/分析方法を学んできましたが、次回からは実際にアドエビスの計測設定に関わる「パラメータ」「タグ」について解説していきます。

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