「誰が・どう動いて成果になったか」を特定する ―― コンバージョン属性とコンバージョンフローの活用術

1.はじめに

前回は、「カテゴリ分析」や「詳細分析」を用いて、キャンペーンや広告ごとの成果を評価する方法を学びました。これらは「どの広告が効率的か」という「施策軸」の分析です。

本記事では、一歩踏み込んで「ユーザー軸」の分析へと進みます。コンバージョンしたユーザー一人ひとりの属性や、成果に至るまでの具体的な足跡(経路)を可視化することで、「なぜその成果が生まれたのか」という背景を解き明かしましょう。

1-1.この学習でのゴール

  • 「コンバージョン属性」画面を活用し、個別のユーザーがどの広告にどの順番で、「どれくらいの検討期間・接触回数」を経て成果に至ったかを把握できる。
  • 「コンバージョンフロー」画面を活用し、自社における「コンバージョンへの黄金ルート(勝ちパターン)」を特定できる。

1-2.こんな方にオススメ

  • CPA(獲得単価)だけでなく、購入単価や会員ランクなど「コンバージョンの質」を分析したい方。
  • ユーザーが最初に広告に触れてからコンバージョンするまで、一般的にどれくらい時間がかかるのか(検討期間)を知りたい方。
  • 認知施策と獲得施策の「相性」を可視化し、予算配分の根拠を強化したい方。

2.ユーザー単位の「生データ」を覗く

コンバージョン属性画面は、アドエビスが計測した施策データをユーザーの施策接触経路軸で統合・集計した分析画面であり、1件1件のコンバージョンデータを詳細に確認することができます。

「人」にフォーカスした分析

この画面の最大の特徴は、アドエビスが持つ広告接触履歴に、複数の情報を紐づけて確認できる点です。

例えば、以下のような情報を掛け合わせて確認できます。

番号項目名内容
1共通機能期間設定やデータのダウンロードができます。
詳しく知りたい方は前のカリキュラムをご確認ください。
2コンバージョン属性CVした際の以下情報が表示されます。
・CV名
・CV時間
・ユーザーID
・属性情報(売上金額、項目1~5)※
 属性情報には性別や年齢といったデモグラ情報やフォーム情報など認識の情報を取得することができます。
・デバイス
・潜伏期間
・接触回数
※あらかじめ、コンバージョン属性情報の取得設定が必要です。
※個人を特定できる情報の取得は禁止させていただいております。
3接触情報広告や外部リンクなど、CVまでに接触したチャネル情報が表示されます。
CV直前に接触した情報が「直接効果」、それ以前の接触が「間接効果2~10」、初回の接触が「初回接触」で表示されます。

「潜伏期間」と「接触回数」が教えてくれること

単なる「1コンバージョン」という結果も、その裏側にあるユーザー行動は様々です。

  • 潜伏期間
    初回接触からコンバージョンまでの日数。これが長い場合は「検討期間が長い商材」であり、リターゲティング広告の重要性が高いことが分かります。
  • 接触回数
    コンバージョンまでに触れた広告の回数。回数が多いほど、ユーザーは複数の情報を比較検討しており、各タッチポイントでのメッセージ設計が重要になります。

また、広告タブ、全トラフィックタブに切り替えることで、広告単体もしくは広告以外の自然検索や外部リンクを含めた「全タッチポイント」でのユーザー像を把握することも可能です。

3.成果への「足跡」をランキング化する

属性画面が「個別の動き」を見るのに対し、コンバージョンフロー画面は「多くのユーザーに共通する代表的な経路」を可視化するための画面です。

「点の評価」から「線の評価」へ

多くのマーケターが「特定の広告Aにて、CPAが高いから停止しよう」といった判断に陥りがちです。しかし、コンバージョンフロー画面を見れば「広告Aで初めてブランドを知り(初回接触)、最終的に自然検索でコンバージョン(直接効果)している」という「勝ちパターン」が見えてくることがあります。

画面から読み取れる主要指標

コンバージョンフロー画面では、特定の経路パターンごとに以下の数値を算出します。

  • コンバージョン数
    その経路を通ってコンバージョンした総数。
  • 平均潜伏期間 / 平均接触回数
    そのルートを通るユーザーは、どれくらいのリードタイムがあり、どれくらい施策に接触したか。
  • 売上総額 / 平均売上
    特定の経路(例:認知広告、比較サイト経由)が、高単価なコンバージョンに繋がっているか。

「特定の初回接触媒体が、どの媒体の直接効果に貢献しているか」をランキング形式で把握することで、施策間の相関や繋がりが可視化されます。

4.PDCA活用シーン

データを確認した後に、現場でどのようなアクションを起こすべきか。具体的な3つのケースを紹介します。

高単価ユーザーの「入り口」を強化する

コンバージョン属性画面で「売上金額」が高い順にソートします。

上位ユーザーの「初回接触」に共通する施策(例:特定の専門特化メディア)があれば、その施策は「優良顧客を連れてくる力」があると判断できます。全体のCPAが悪くても、その施策の予算を維持、あるいは増額する根拠になります。

検討期間に合わせたリターゲティング設計

コンバージョンフロー画面で「平均潜伏期間」を確認したところ、平均14日かかっていることが分かりました。

データはダミーです
  • 改善策
    今まで配信期間を「3日間」に集中させていたリターゲティング広告の配信設計を、「14日間」まで拡大し、7日目以降は「検討の後押しをする比較コンテンツ」にクリエイティブを切り替える、といったシナリオ変更を行います。

施策の「相性」に基づいた予算のセット運用

コンバージョンフロー画面で「Instagram広告(初回)→ リスティング広告(直接)」という経路が、自社で最もコンバージョン数が多い「勝ちパターン」だと判明しました。

  • 改善策
    Instagram広告の予算を削ると、連鎖的にリスティング広告のコンバージョンも減るリスクがあります。この2つを「セットの施策」として捉え、Instagram広告の評価指標を「直接コンバージョン」ではなく「どれだけリスティング広告へパスを送れたか」という中間指標に切り替えて運用を継続します。

5.おわりに

「コンバージョン属性」と「コンバージョンフロー」は、施策ごとの成果だけではなく、その中にある「ユーザーの動き」を可視化するための画面です。

  • 「コンバージョン属性」画面で「誰が」を具体化し
  • 「コンバージョンフロー」画面で「どう動いたか」の必勝パターンを見つける

この「人」にフォーカスした分析ができるようになると、広告運用は単なる「クリックでの評価」から、ユーザーの意思決定を支援する「コミュニケーション設計」へと進化します。

次回は、これらの間接効果や初回接触の貢献を、自動で生産性換算して評価する「コストアロケーション分析」について解説します。いよいよ、広告予算の最適化に向けた核心へと迫っていきましょう。

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