再配分CVを使った広告の評価方法
アトリビューション指標の使い方に悩んだことのある方も多いのではないでしょうか。
この記事では、アトリビューション指標の中でも再配分CVに焦点を当て、使い方の一例をご紹介します。
必ずしもアトリビューション指標を取り入れなければいけないということはございません。
まずは自社のマーケティング戦略や施策に期待する役割から、必要かどうかご検討ください。
本記事をご覧いただき、再配分CVを活用するにあたるヒントを得ていただければ幸いです。
※指標の定義に関する解説動画はこちら
1. 再配分CVモデルの選択
CVへの間接的な貢献を狙った施策を実施している場合、直接的な貢献度を測るCVやCPA等とは別の指標で評価する必要があります。
アドエビスでは、このような施策を評価する指標の1つに「再配分CV」をご用意しております。
再配分CVとは
直接効果だけでなく、CVまでに接触された間接効果も加味してCVへの貢献度を評価できる指標です。
CVよりも再配分CVが多い施策ほど、間接的な貢献度が高い施策として評価することができます。
<計算式>
CVまでに接触した施策に対して、「1÷CVに至るまでに接触した施策数」でCVを再配分
以下の例では、4回広告に接触してCVしているので、各広告に1/4ずつ再配分CVがカウントされます。
(再配分CVモデルが「均等配分」の場合)
1-1. 自社に合った再配分CVモデルの検討
再配分CVの算出は、再配分CVモデルによって異なります。
まずは自社のマーケティング戦略に合った再配分CVモデルを以下の4種類から選択し、設定しましょう。
独自のモデルに設定したい場合、カスタムも可能です。(デフォルトは「均等配分」です。)
どの再配分CVモデルにすればよいか迷う場合は、以下表も参考に事業フェーズ・マーケティングフェーズや商材の検討期間の長さ等からご検討ください。
事業フェーズ | マーケティングフェーズ | 検討 期間 |
|
---|---|---|---|
ラスト接触重視 | 〈事業創造フェーズ〉 まずは顕在層を獲得することが大切。 |
顕在層への獲得施策のみ実施している。ラスト以外の広告も少しは評価したい。 | 短い |
均等配分 | 〈マネタイズ・仕組化フェーズ〉 何度もサイト流入させることが大切。広告流入を重ねてCVを狙う。 |
広告ごとの役割(認知/獲得)は特に分かれておらずほとんど同じ。 | 長い |
初回/ラスト接触重視 | 〈急成長フェーズ〉 認知からCVまでが速い。顕在層の獲得に加え、潜在層へリーチを広げることも大切。 |
ラストも評価しつつ初回に効果的な広告を探している。 | 短い |
初回接触重視 | 〈成熟フェーズ〉 最後は自然検索/リタゲがほとんど。新規ユーザーの獲得に伸び悩んでいる。 |
獲得施策を長年続け、ラストの最適化は完了している。初回に効果的な広告に予算を寄せたい。 | 短い |
検討期間が分からない場合は、「1-5. (補足)「平均潜伏期間」「平均接触履歴回数」の確認方法」をご参照ください。
ここまでの内容で決めきれない場合、「均等配分」か「初回/ラスト重視」を推奨しています。以下にて、それぞれもう少し詳細にご案内します。
1-2. 均等配分をおすすめするケース
計測したい商材の特徴として、何度も接触しなければCVに繋がりづらい場合や、再配分CVの概念に慣れていない場合は均等配分をおすすめします。
また、以下のような評価にも適しています。
- 接触タイミング関係なく、「CVユーザーの興味を引いた広告である」ことを評価したい
- アシスト効果を見逃さず、接触タイミング関係なく平等に評価したい
1-3. 初回/ラスト重視をおすすめするケース
計測したい商材の検討期間が短いことから初回認知とラストの刈り取りが重要であり、平均接触回数が2回以下の場合は、初回/ラスト重視をおすすめします。
また、以下のような評価にも適しています。
- ラストだけではなく「初めてのサイト流入のきっかけになった広告である」ことも評価したい
- 初回とラスト以外の接触はCVへそれほど貢献していないとみなし、CVまでの接触回数を減らしたい
1-4. 再配分CVモデルの変更方法
再配分CVモデルの変更方法はこちらをご参照ください。
※モデル変更後、過去のデータも新しく設定したモデルで再集計し、画面に反映されます。
1-5. (補足)「平均潜伏期間」「平均接触履歴回数」の確認方法
検討期間が分からない場合は、アドエビスのカテゴリ分析などの画面で表示できる「平均潜伏期間」や「平均接触履歴回数」が参考になります。
≪「平均潜伏期間」「平均接触履歴回数」の確認方法≫
- コンバージョンフロー画面を開く
- カレンダーにて1カ月分などデータが十分蓄積されている期間を設定
- 「項目切替」から表示項目「平均潜伏期間」「平均接触履歴回数」を指定
- 絞り込みをする場合は「フィルタ」からフィルタリングしたい項目を指定
例)「対象コンバージョン」を購入完了に絞る - 適用して表示された「平均潜伏期間」「平均接触履歴回数」の合計行を確認
※潜伏期間や接触回数は、[設定/管理>計測オプション>システム設定>トラッキング対象期間]に設定している期間だけ遡って集計されます。
2. カテゴリ分析画面での数値確認
再配分CVモデルが決まったら、週次や月次で施策の成果を確認しましょう。
※検討期間が長い場合は数値が出るまで時間がかかるため、検討期間に合わせて確認頻度を調整してください。
アドエビスのカテゴリ分析画面にて「項目切替」から、CVだけでなく再配分CVも表示させて確認しましょう。
広告の良し悪し判断は、目標との比較や広告同士の相対比較だけではなく、過去データと比較することもあります。例えば、前週にテコ入れした広告があれば前週データと比較しましょう。
≪前週データとの比較方法≫
- カテゴリ分析画面を開く
- カレンダーにて1週間分の期間を設定し、カレンダー左下の「期間比較」をクリック
※「比較」の日付は「前の期間」をクリックすると、プルダウンから比較対象期間を変更できます。
3. 第二指標として再配分CVを加味することによる投資判断
初めは、「どのようにCVと間接効果指標を併用したらいいのか分からない」と感じる方も多いでしょう。そんな時は、第一指標としてこれまで通りCVを確認し、続いて第二指標として間接効果指標を確認するようにしてみてください。
間接的な貢献度も加味して広告の成果を確認することで、投資判断の精度向上にも繋がるかもしれません。
投資判断の精度向上とはどのようなイメージか、以下にご説明します。
例えば、これまでCV数の少ない広告を停止するという判断をしていたとします。
もし停止した広告が実はCV意欲を引き上げる役割を務めていたとすると、停止することでCV獲得の機会損失を招くかもしれません。
以下の図のように、CVだけではなく第二指標として再配分CVも確認したうえで投資判断を行うことで、CV獲得の機会損失を防ぐ精度の高い意思決定となるのではないでしょうか。
具体的な数値を入れると、以下のようなイメージです。
件数で表示していますが、費用対効果を加味してCVをCPA、再配分CVをTCPAに置き換える形で確認する方法もあります。(TCPA=広告コスト÷再配分CV)
広告ごとの再配分CVの目標設定は難しいため、GOODとBADの判断には、主に「同じ役割の他広告との相対比較」「同一広告の別期間との比較」を用いることが多いです。
数値の確認タイミングや、自社チームの考え方に即した基準でご確認ください。
またTCPAの目標を立てる場合「目標CPA×再配分CV数÷ラストCV数」で算出し、各広告の特性を加味した基準を設けているという事例もあります。
4. まとめ
この記事では、間接効果の中でも特に再配分CVの活用方法をご紹介しました。
今後、再配分CV以外の指標(「間接効果(合計)」や「初回接触」)などの使い方も紹介していきますので、更新を楽しみにしていただけますと幸いです。
施策の評価をする際、「間接効果」と「再配分CV」のどちらを見るべきか迷われる場合は、以下の記事をご覧ください。それぞれの指標の違いと、どちらを見るべきかをケースごとに分けてご紹介しています。
「第二指標として使っています!」「他にもこんな活用をしています!」というコメントや、「こんなところに疑問があり活用できていない」などの不明点があれば、ぜひ以下リンクよりお声をお寄せください!
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