媒体数値との「乖離」はなぜ起きる?計測仕様の違いを理解し、共通の物差しを持つ理由

1.はじめに
前回の「正確なコンバージョン計測が重要な理由」では、データが不正確だと意思決定を誤り、投資が無駄になるリスクを学びました。アドエビスを導入して計測を開始すると、直面することが多いのが「媒体管理画面と数値が合わない」という現象です。
実は、この「数値のズレ(乖離)」は計測不備ではなく、計測ロジックの違いによって発生します。本記事では、乖離が起きるメカニズムを正しく理解し、それらのデータをどう解釈すべきかを解説します。この記事を読み終える頃には、クライアントや社内からの「なぜ数値が違うの?」という問いに自信を持って答えられるようになっているはずです。
1-1.この学習でのゴール
- クリックおよびコンバージョン計測におけるアドエビスと広告媒体の具体的な仕様差を説明できる。
- 数値が乖離する要因(タイミング、重複、紐付け方法等)を理解し、データを正しく解釈できる。
- 「共通の物差し」としての広告効果測定ツールの価値を理解する。
1-2.こんな方にオススメ
- 各媒体のコンバージョン数を合算すると、実際のコンバージョン数を超えてしまい、何が正しいか分からなくなっている方。
- 媒体によって評価基準がバラバラで、予算配分の判断に苦労している方。
- クライアントから「媒体数値とアドエビス数値の乖離」について聞かれ、説明に困っている方。
2.数値がズレる「代表的な5つの要因」
アドエビスと広告媒体では、そもそも「何をカウントするか」のルールが異なります。代表的な5つの要因を見ていきましょう。
※当記事は2026年3月時点の情報に基づきます。記事内の各種名称や情報は執筆当時のものであり、現在の状況と異なる場合がありますことをご了承ください。
1.クリック計測のタイミング
クリック計測の時点ですでに乖離が発生しやすい要因があります。その要因は、計測が行われる「場所」の違いです。
- 広告媒体(一般的に)
ユーザーが広告をクリックした瞬間、媒体サーバーを通過したタイミングでカウントします。 - アドエビス
クリック後にランディングページへ遷移し、ページ上のタグが読み込まれたタイミングでカウントします。
この違いにより、例えば「誤クリックしてランディングページが開く前にブラウザを閉じた」場合、媒体にはカウントされますが、アドエビスにはカウントされません。そのため、「媒体クリック数 > アドエビスクリック数」という状況が起こりやすいと想定されます。特に直帰率の高いディスプレイ広告や動画広告でこの傾向が顕著です。
2. CVカウントタイミング
レポートの「日別数値」が合わない最大の要因がこれです。
- Google広告/LINEヤフー広告等
コンバージョンしたユーザーが「最後に広告をクリックした日」に遡ってコンバージョンをカウントします。 - アドエビス
「実際にコンバージョンが発生した日」にカウントします。
例えば、4月1日にクリックし、4月3日に購入した場合、媒体は4月1日に、アドエビスは4月3日にコンバージョンを計上します。月を跨ぐ場合などは、集計期間によって大きな乖離に見えるため注意が必要です。
3. 複数媒体の重複計上
複数の媒体を出稿している場合、各媒体は自媒体の成果であると主張します。
ユーザーが「Google広告をクリック」→「LINEヤフー広告をクリック」→「Facebook広告をクリック」→「コンバージョン」という動きをした場合、GoogleもLINEヤフーもFacebookも自社経由の成果として「1コンバージョン」を計上します。しかし、実成果は「1件」です。
アドエビスは媒体を横断して計測するため、このケースでは「最後に接触したFacebookに1コンバージョン」を付け、GoogleとLINEヤフーは「間接効果」として整理します。これにより実際の成果とのズレを解消します。により、実成果とのズレを解消します。

4.ユーザーの紐付けとクロスデバイス
「誰がコンバージョンしたか」を特定する計測方法の差も影響します。
- アドエビス
主にCookieベースで紐付けます。「クロスデバイス機能」により精度を高めることもできますが、基本はブラウザ単位の計測です。 - 広告媒体
Cookieに加え、ログイン情報(Googleアカウント等)や独自の推計ロジックを用いて紐付けます。
媒体側は「ログイン情報」という強力な手段を持っているため、デバイスを跨いだコンバージョンをより多く紐づける傾向があります。
⑤ 重複除外ロジックの違い
同一ユーザーが短時間に複数回コンバージョンした場合や、ページをリロードした場合の処理も異なります。
| 項目 | アドエビス | Google広告/LINEヤフー広告等 |
|---|---|---|
| 複数コンバージョン | 同一セッション内の重複を除外可能 | 「全件計測」か「初回のみ」を選択 |
| リロード対策 | 「経由ページ設定」で対策 | 「トランザクションID」で対策 |
これらの設定状況や仕様差により、一方では除外されているが、もう一方では計上されているという事象が発生します。
3.PDCA活用シーン
ここまでで乖離の要因が理解できたかと思います。乖離の要因が分かれば、以下のような高度な判断が可能になります。
媒体Aの予算を増やすべきか?
- 状況
媒体Aの管理画面ではCPAが非常に低く、絶好調に見える。 - アドエビスでの確認
アドエビスで見ると媒体数値より大幅にコンバージョンが少なく、かつ「他媒体との重複」が80%を超えていた。 - 判断
媒体Aは「最後に背中を押しただけ(または、たまたま最後に踏まれただけ)」であり、新規獲得の起点にはなっていない可能性が高い。 - アクション
媒体Aの予算増額は控え、代わりにアドエビスで「初回接触」を多く作っている媒体Bへ予算を配分する。
このように、各媒体管理画面のコンバージョン数を鵜吞みにせず、アドエビスという「一貫したルール(同一ロジック)」で比較することで、初めて公平な投資判断ができるようになります。
4.おわりに
アドエビスと広告媒体の数値が乖離するのは、それぞれの「役割」が違うからです。
媒体の数値は「その媒体の中での最適化」のために計測されており、アドエビスの数値は「マーケティング全体の投資判断」のために最適化されています。
「どちらが正しいか」ではなく、計測仕様の違いを理解した上で、全体の舵取りにはアドエビスの「同一ロジック」を用いる。これがプロのマーケターのデータ活用術となります。
次回は、今回学んだ「重複」の概念をさらに深掘りし、最後のクリックだけを評価するリスク、すなわち「ラストクリック評価から脱却すべき理由」について詳しく解説します。
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