【CV乖離の要因について】各媒体CV数とアドエビスCV数の乖離

アドエビスを利用されているお客様にてよくあるお困りごととして、「アドエビスと媒体で乖離が発生している」といったお話をお聞きすることがございます。

乖離が発生する要因としては、サポートページ(数値が乖離する場合や計測できない要因は何がありますか?)でもご案内しているように、タグの設置などアドエビス設定面の不備や、媒体とアドエビスの計測仕様差が考えられます。

この「計測仕様差」ですが、具体的にどのような違いがあるかが分かればデータの捉え方も変わってくるかと思いますので、この記事を読んで改めて理解を深めていただければと思います。
※当記事は、2024/7/1時点の情報です。媒体側の仕様変更により内容が異なる可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

関連記事:【CV乖離の要因について】各媒体CV数と実成果数の乖離

1.クリック計測について

CVの前に、広告の効果を測定する上で「クリック数」は重要な指標ではありますが、その計測方法はアドエビスと媒体で少し異なっております。

まずアドエビスでは、下図のような形で計測を行っています。

ユーザーが広告をクリックしてLPに遷移したのち、そのLPに設置された共通タグが発火することで、クリックとして計測が行われます。

それに対し、媒体では(一般的に)下図のような形で計測を行っています。

ユーザーが広告をクリックした際に媒体のサーバーに接続、そこでクリック計測をしたのち、LPにリダイレクトされます。

このような違いがあるため、例えばユーザーが広告を誤ってクリックしてLPが読み込まれる前にすぐに元ページに戻った場合などは、アドエビスでは計測がされず媒体のみで計測が上がる、ということがあります。

そのため、直帰率が高い傾向にあるディスプレイ広告や動画広告にて、
アドエビスクリック数<媒体クリック数という状況が起こりやすいと想定されます。

アドエビスと同じ計測方式であるGAでも、この点について言及されていることが以下の記事からも分かります。
Google 広告のクリック数とアナリティクスのセッション数がレポートで一致していない理由

2.CV計測について

対してCVについては、アドエビスと各媒体共に、サンクスページでのタグ発火による計測がほとんどとなっています。
ただし、細かい仕様においてそれぞれ違いがあります。

以下に、アドエビスと各媒体のCV計測仕様をまとめつつ、特にアドエビスと異なり乖離に大きく影響すると思われる点をピックアップしてご説明いたします。

2-1.複数の広告媒体への出稿による重複

複数の媒体でWeb広告を出稿している場合、各広告媒体管理画面におけるコンバージョン数の合計が実際の成果数より多く出やすくなります。
この事象は、ユーザーが複数媒体の広告をクリックし、最終的にコンバージョンした場合に発生します。一般的に広告媒体では「広告をクリックまたは表示したユーザーが、一定期間内にコンバージョンした際」にコンバージョンが計測されます。これにより、実際のコンバージョンは1件だったにもかかわらず、複数媒体でコンバージョンを計測し、重複が起きてしまうのです。

アドエビスでは、ユーザーが接触した広告媒体の中から「最終的にコンバージョンに繋がった流入元」のみが最終接触コンバージョンとして計測されます。そして、その他の広告媒体は間接効果として計測されます。これにより、複数の媒体に広告を出稿している場合でも、正確なコンバージョンを計測することが可能になります。

2-2.CVカウントタイミング

アドエビスMetaGoogleYDAYSALINE
CV時CV時クリック時
(CV時でも確認可)
クリック時クリック時CV時

前述のとおり計測においてはアドエビスと媒体は同じ、とご説明しましたが、各管理画面でCVがカウントされる日には違いがあります

Google広告、Yahoo!広告では、CVしたユーザーがラストクリックした日にCVがカウントされます。対して、アドエビスではCVが実際に発生した日にカウントされます。

そのため、ユーザーが4月1日に広告クリック、4月3日にCVに至った場合、各媒体とアドエビスでは下図のようなカウントの違いが発生します。

こちらは「【CV乖離の要因について】各媒体CV数と実CV数の乖離ー1-3」でもご説明しておりますので、ぜひご参照ください。

2-3.同一ユーザー複数CV時の計測

アドエビスMetaGoogleYDAYSALINE
全件計測
(セッション内重複除外はあり)
確認中全件計測(デフォルト)、初回のみから選択可全件計測(デフォルト)、初回のみから選択可全件計測(デフォルト)、初回のみから選択可全件計測

Google、YDA、YSAでは「全件計測」または「初回のみ」が選択できますが、これは以下の形で計測されることを指します。

  • 「全件計測」=同じユーザーが複数CVを行った場合に、すべてを広告成果として計測する
  • 「初回のみ」=同じユーザーが複数CVを行った場合に、初回CVのみを広告成果として計測する

通常前者の方がデフォルトになっているため、特に設定を変更されていない場合は、例えば同じユーザーが異なる商品を別々に注文すると、それぞれが広告成果として反映されてしまうと考えられます。

なおアドエビスでは、複数CVへの計測制限はありません。ただし、「コンバージョン重複カウント」を「取得しない」にしておくことで、同一セッション時間内の後発CVは除外されます。この除外は、二度目の注文が同一セッション内か否かによるため、媒体側で「全件計測」「初回のみ」いずれを選択していても、アドエビスでの計測結果とは乖離が発生する可能性があります。

2-4.CVページリロード時の重複除外

アドエビスMetaGoogleYDAYSALINE
あり(経由ページ設定が必要)確認中あり(トランザクションIDの設定が必要)あり(トランザクションIDの設定が必要)確認中なし

ユーザーがCVページに戻ったり、そのページを再読み込みしたりすると、同じ注文に対してCVが2回カウントされることがあります。

 参考:「【CV乖離の要因について】各媒体CV数と実CV数の乖離ー1-7

Google、YDAでは、このようなリロードによる重複計測を防止するため、「トランザクションID」があります。
この「トランザクションID」は、注文IDのような一意の情報を用いて、同じ注文が発生してもCVは1件しか計測しないようにするためのものです。

媒体の計測タグに「トランザクションID」を取得する記述の追加が必要なため、サイトやタグマネージャーでの対応が必要です。

またアドエビスでの対策としては、「経由ページ」機能をご用意しています。
「経由ページ」を設定することで、指定したページを経由せずにCVページが開かれた場合は、CV計測を行いません。

それぞれ「リロードによる重複計測を防止する」という目的は同じですが、手段は異なっています。そのため、媒体、アドエビスいずれも対策していたとしても、必ずしも同じ計測結果になるとは限りません。

2-5.紐付け方法の違い、クロスデバイス

アドエビスMetaGoogleYDAYSALINE
紐付け方法CookieCookie
ID(メール/電話番号等)
類推
Cookie
ID(メール/電話番号等)
類推
Cookie
ID(メール/電話番号等)
類推
Cookie
ID(メール/電話番号等)
Cookie
ID(メール/電話番号等)
クロスデバイスクロスデバイス機能の有効化により含むデフォルトで含む別カラムで含む別カラムで含む別カラムで含む含む

これは、クリックしたユーザーとCVしたユーザーをどのように同一人物だと判断するかのルールとなります。

アドエビスは基本的にCookieベースでユーザーを紐づけているため、例えば同じユーザーがスマートフォンのGoogleChromeでクリック、PCのSafariでCVを行った場合、クリックとCVでブラウザ(Cookie)が異なっているため、広告成果としてCVを計測することができません。

それに対し媒体では、Cookieのほか各媒体で保有している個人情報(ログイン情報など)、また類推での紐づけも行っているため、アドエビスより広告成果として計測されるCV数が多くなることがあります。

アドエビスでも「クロスデバイス機能」をご用意しており、有効化することで、Cookieが異なるユーザーのアクセスを紐づけられる可能性があります。(詳細はサポートページを参照してください。)

とはいえ、媒体の類推仕様や個人情報による紐づけは媒体特有のものであり、アドエビスの「クロスデバイス機能」の仕様とは異なります

そのため、こういった紐づけ方法の違いにより乖離が発生する可能性があります。

2-6.クリックの計測仕様差による影響

媒体、アドエビス共に、広告をクリックしたユーザーからCVが発生することで、広告の成果として管理画面にカウントされます。すなわち、クリックが計測できていなければ、CVが正常に計測されたとしても広告の成果とはみなされません。

1項でのご説明でも、アドエビスと媒体ではクリック計測のタイミングに違いがあり、ユーザーの動きによってアドエビスのみ計測されないことがあるとお伝えしました。

アドエビスのみでクリックが計測されなかったユーザーがCVに至った場合、媒体のみ広告成果として計測され、アドエビスではダイレクトからのCVとして計測される、ということが起こります。そのため、広告の成果を確認した際に媒体とアドエビスで乖離が発生しているように見えることがあります。

2-7.その他の計測仕様差について

ここまでは乖離に大きく影響すると思われる点をご案内いたしましたが、その他にも以下表のような仕様差もあります。
例えばトラッキング有効期間については、多くの媒体でデフォルトが30日になっています。対してアドエビスは最長366日を選択することができるため、月単位での集計では乖離していなくとも、年単位で集計すると乖離している、ということはあるかもしれません。

アドエビスMetaGoogleYDAYSALINE
トラッキング有効期間1日~366日の期間で設定* クリックから1日or7日
* ビューから1日
* エンゲージビューから1日
7~90日の期間で設定
デフォルトは30日
※ビュースルーCVは別カラム、デフォルト1日
7~90日の期間で設定
デフォルトは30日
動画視聴は1~30日間
※ビュースルーCVは別カラム、計測期間は1日固定
7~90日の期間で設定
デフォルトは30日
1~180日の期間で設定
デフォルトは30日
※ビュースルーCV計測はアプリのみ対応
アトリビューションモデル全広告でのラストタッチ(再配分CVモデル設定により変更可)媒体内ラストタッチ媒体内DDA(デフォルト)媒体内ラストタッチ
アトリビューションモデル比較レポートあり
媒体内ラストタッチ
アトリビューションモデル比較レポートあり
媒体内ラストタッチ
クロスドメイン対応(自動クロスドメインまたは手動クロスドメイン設定を有効の場合)非対応対応対応対応対応

3.おわりに

このようにアドエビスと媒体ではベースの計測仕様が異なるため、CV数を比較いただくと、一定の乖離は生じることが考えられます。また、各媒体で細かな仕様が異なるということは、「CV数」という同じ項目であっても公正な評価は難しいとも言えます。

そのため、当記事でご説明したような計測仕様の違いを理解したうえで、各媒体の効果を統一した基準にて評価するために「アドエビス」を活用いただければと思います。

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