【アドエビスのうらが「わ」】マーケ組織に"学び"を根づかせる:越えるべき2つの壁

2025年5月に正式リリースさせていただきました「AD EBiS Campaign Manager」。
このサービスはMCM(Marketing Campaign Management)という思想を元にプロダクト化したサービスです。このMCMを具現化し、市場を形づくる挑戦を継続的に発信すべく様々な視点で弊社の思想と挑戦をお届けしていきたいと思います!


振り返りは行われているのに、組織の学びにならない現実

マーケティングの現場では、 「次の施策に活かすために振り返ろう」という言葉をよく耳にします。
確かに多くの企業では、定期的なレポートやミーティングを通じて振り返りが行われています。

特に広告代理店に業務を委託している場合には、 数十ページ、ときには数百ページに及ぶ詳細なレポートが届き、 担当者が丁寧に説明してくれることも珍しくないでしょう。

つまり「振り返り」そのものは、多くの場合、実施されているのです。
そして、すぐあとに実施される施策には、その振り返りが反映されることもあります。

しかし、重要なのは——
その振り返りが組織のナレッジとして蓄積され、長期的に活用されているかという点です。

そうでなければ、せっかく多大なコストを投じて行ったマーケティング施策の成功も失敗も学びにはならず、消えてしまいます。
結果として、同じような失敗が、時間をおいて再び繰り返される。
これは多くの組織で起きている現象です。

正直に言えば、当社自身も例外ではありません。
数年前に失敗した施策と同じような企画が、数年後に新しいメンバーから再び上がってきたことがあり、
もどかしさを感じた経験は一度や二度ではありません。

なぜ“学び”はナレッジとして残らないのか

私は、その理由を大きく2つあると考えています。

【1】「同じ条件で再現されない」から、記録の価値を感じにくい

マーケティング活動は、常に変化の中で行われます。
シーズナリティ(季節要因)、競合環境、媒体条件、トレンド、クリエイティブ——どれ一つとして同じ条件は二度と揃わない

たとえばアパレルブランドがある商品のキャンペーンを行うとしましょう。
ターゲットを定め、訴求軸を決め、メディアを選定し、実施する。
しかし、同じ条件・同じクリエイティブで次回も展開できることはほぼありません。

商品も競合状況も変化し、訴求の鮮度も落ちていく。
こうした中で、「振り返っても次に活かせない」と感じられてしまう。

結果として、学びを記録・共有することのコストとリターンが見合わず、
多くの組織で後回しにされてしまうのです。

「同じ条件で再現されない」から、記録の価値を感じにくい

【2】データとして“扱えない”知見が多い

それでも知見を蓄積しようと、データベース化に取り組む企業もあります。
一定の成果を上げている例もありますが、現実には運用の難しさに直面するケースも少なくありません。

データベースは、数値情報の保存は得意でも、施策の意図、ターゲット設定、訴求軸、クリエイティブといった情報の扱いには必ずしも長けているわけではありません。

また、レポートをPowerPointやPDFで受け取るケースも多く、それでは一時的な説明には役立っても、 後から“ナレッジとして検索・分析できる”状態にはなりません。

結果として、せっかくの情報が散在し、
「知見はあるが活かせない」状態が生まれてしまいます。

生成AIがもたらしたブレイクスルー

このように、振り返りが文化として根づかない背景には、 「再現されないから記録しない」と「記録しても使えない」という 2つの構造的な壁がありました。

こうした長年の課題を、いま私たちはようやく越えられるかもしれません。
その可能性をもたらしたのが、急速に進化した生成AIの力です。

ご存じの通り、生成AIは非常に柔軟にテキスト情報を扱うことができます。
この特性は、数値(定量)と文章(定性)の両方を扱うマーケティングデータと極めて親和性が高い。
これまで分断されていた「報告書」「施策ログ」「成果データ」を、一貫した文脈として結びつけることが可能になりました。

AD EBiS Campaign Managerでは、この生成AIの力を活用し、
よりスムーズに「情報の蓄積」と「知見の活用」が循環するプロセスを構築しています。

データが記録されるだけでなく、AIがその意味を理解し、人とチームの思考を補完する——。
マーケティングの再現性を高めるための挑戦は、いままさに始まったばかりです。


アドエビスに対するフィードバック、ご意見などはこちらよりご記入ください。

ご意見・ご要望フォーム

関連記事をみる