【アドエビスのうらが「わ」】ACM開発ヒストリー~第5話 「自分は適任では無いと思います」~

弊社の新サービス「AD EBiS Campaign Manager」が、2025年5月に正式リリースとなりました。
構想から約3年、リリースに至るまでのストーリーを公開することでプロダクトへの愛を感じていただき、そして製品開発を行う皆様の参考になればと思い全15話をお届けします。

【第5話】 吉本 啓顕(執行役員)がお届けします
Slackの経営メンバー向けグループでは、経営合宿の2ヶ月ほど前からすでに議論が交わされていました。
岩田さんが強く推していた『データドリブン・マーケティング』の思想を起点に、「マーケティング・キャンペーン・マネジメント」を新たなプロダクトとして形にする構想。
その熱量は、画面越しでも十分すぎるほど伝わってきました。
岩田さんは、「これは我々自身が抱えてきた課題だ。そして、この課題を解決できる方法があるなら、間違いなく多くの人を幸せにできる」と語っていました。その言葉には、迷いのない確信がありました。
私はその言葉には共感しながらも、どこかで自分には遠い話だと感じていました。
既存サービスのPdMとして日々の業務に向き合うだけでも手一杯で、新規事業の立ち上げは自分とは別世界の話のように感じていました。
そんな思いを抱えたまま、私は長野での経営合宿に向かいました。
任命を受けた戸惑い
合宿当日のことは、今でもはっきり覚えています。
「この事業のリーダーは吉本にやってもらいたい」
岩田さんがそう言った瞬間、時間が一瞬止まったような気がしました。
光栄な気持ちもありましたが、それ以上に、大きな責任に対する不安が勝っていました。
これまで私は、既存事業であるアドエビスのPdMとして、機能改善の企画・ローンチ・活用促進という一連のプロセスを経験させてもらっていました。
改善の延長線上にない、“ゼロからの開発”は、まったく未知の世界でした。
「自分は適任では無いと思います」
その言葉は、思わず口をついて出ていました。
なぜ自分なのか?という思いと葛藤
私は当社に新卒で入社し、開発職からキャリアをスタートしました。エンジニアとして数年を過ごした後、営業へ異動し、顧客と向き合いながら泥臭く積み上げてきた経験。そこからマーケティング、そしてPdMへと進み、気づけば17年が経っていました。
思えば、岩田さんに憧れてこの会社に入社し、ずっと会社のことを、仲間のことを考えてやってきました。
だからこそ、「自分には無理かもしれない」という気持ちと、「この挑戦を受け止めたい」という想いが、心の中でせめぎ合っていたのです。
そんな私に対して岩田さんは、強くこう言いました。
「もちろん、私自身もこのプロジェクトには強くコミットする。
ただ、私の立場上、すべての時間を使うことはできないし、それではうまくいかない。
思想をプロダクトに落とし込むには、現場で手足を動かしながら推進するPdMの存在が不可欠なんだ。一緒にやっていこう。」
その説明は、確かにその通りだと思いましたし、社内でPdMとしての経験が一番長いのが自分であることも、わかっていました。
「やらせていただきます」
まだ何も見えていませんでした。
けれど、それが理由で逃げてはいけないとも思いました。
「やらせていただきます」
そう答えた瞬間から、私の中で何かが静かに動き始めていました。
次回予告|不安とともに踏み出した“最初の一歩”──仲間との対話が、すべての始まりだった。
任命を受けた翌日、私はすぐに動き出しました。
構想はまだ曖昧で、確信もない。けれど、それでも「話さなければ何も始まらない」と思ったのです。
次回は、不安の中で踏み出した“最初の一歩”と、仲間との対話によって少しずつ形を帯びていったプロジェクトのはじまりについて綴ります。
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