【アドエビスのうらが「わ」】ACM開発ヒストリー~第3話 最初は「ピンとこなかった」~

弊社の新サービス「AD EBiS Campaign Manager」が、2025年5月に正式リリースとなりました。
構想から約3年、リリースに至るまでのストーリーを公開することでプロダクトへの愛を感じていただき、そして製品開発を行う皆様の参考になればと思い全15話をお届けします。

【第3話】 赤澤 洋樹(取締役 上席執行役員 CFO)がお届けします

最初に岩田さんが『データドリブン・マーケティング』の話をしたときのことを、正直に言えば、私はほとんど覚えていません。
岩田さんが皆に薦める本は基本的に一度は目を通すようにしているのですが、あのときは自分の問題意識とリンクしていなかったからか、初見では特に印象に残っていなかったのだと思います。

AD EBiS Campaign Managerとは

大規模プロモーションの失敗が気づかせた「見えないもの」

私自身の視点が大きく変わったのは、2022年9月期。ちょうど社内で掲げていた「Vision2023」の2年目にあたる時期です。私たちはその頃、YouTubeで動画広告のプロモーションを実施していたのですが、これが思うような成果を上げられませんでした。
CFOという立場で振り返る中で、ふと気づいたことがありました。
「そもそも、施策の意図や仮説、成功の基準を事前に定義していなかったのではないか?」
この問いが、自分の中でずっと引っかかっていたのです。

書棚にあった一冊に、もう一度向き合う

以前、岩田さんが紹介していた『データドリブン・マーケティング』を、改めて手に取り、丁寧に読み返してみました。
序盤で紹介されている15の指標が注目されがちで、後半の章は読み飛ばしている、というか、たどり着いていない方すらいるのではないかと思いますが、私も当初はそうでした。しかし、改めて丁寧に読んでみると、マーケティングが本当の意味で企業に競争優位をもたらすのは組織能力としてのプロセスであるという、とても重要なメッセージがひっそりと眠っていたことに気づきました。

マーケティング・キャンペーン・マネジメント(MCM)のループ

このプロセス・組織能力が当社自身にとって重要であることは自明でしたが、この本にも書かれているとおり多くの企業もできていないことだとすると、プロセス構築を支援するツールやサービスには需要がありそうだと直感的に思いました。

アドエビスでは数字が見える一方で、「見えていないもの」として課題に感じていたこと

当時、自社のマーケティング施策に対して私が強く感じていた課題は、マーケティング施策の「意図」「仮説」「評価方法」を、事前に整理・記録・承認する文化やプロセスが明確に存在していなかったことです。
これは、アドエビスで計測されるデータにおいても同様でした。意図や仮説、場合によっては目標さえも設定されないまま、結果だけが記録されている──そんな利用状況は決して珍しくありませんでした。
それでは、どれほど高精度なデータを蓄積しても、そこから学びを得ることはできません。将来にとっては無価値なデータとなってしまい、蓄積する意味が失われてしまいます。

共鳴が、事業の方向を決めた

この課題を乗り越えるには、企業がマーケティングのプロセスを持つこと、そしてそれを支える仕組みやツールが不可欠です。
自社にとっても必要なことだと感じましたが、同時に「これは多くの企業にとっても未整備な領域なのでは?」と直感しました。
であれば、それを支援する仕組みには需要がある。さらに、マーケティングの実行を支援するより、プロセスの構築を支援する方が自社の強みに合っている。そうした事業的なフィット感もありました。
岩田さんの語っていた思想が、単なる熱ではなく、構造を伴った未来志向であることがこのとき明確に腹落ちしました。

あのとき、もし共鳴しなかったら

もし私があのタイミングで共鳴していなければ、このプロジェクトは違う進み方をしていたと思います。新規事業として採用されなかったか、採用されたとしてももっと後だったかもしれません。
もちろん、岩田さんのビジョンがあったからこそ進んだ道ですが、「この方向にいくべきだ」と最初に背中を押した一人として、確かな手応えがありました。


この先、プロジェクトは理想と現実の狭間で揺れ動くことになります。
けれどこのとき、私は確かにこう思っていました。
この思想には、社会にとっても会社にとっても、意味がある」──と。

次回は、「思想を形にする」ために、岩田が下した一つの大きな決断に迫ります。
信じた構想を誰に託し、どう現場に火を灯そうとしたのか──
プロジェクトが静かに動き出す瞬間です。

第4話(Coming Soon…) ≫


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