【アドエビスのうらが「わ」】ACM開発ヒストリー~第2話 思想から共感へ~

弊社の新サービス「AD EBiS Campaign Manager」が、2025年5月に正式リリースとなりました。
構想から約3年、リリースに至るまでのストーリーを公開することでプロダクトへの愛を感じていただき、そして製品開発を行う皆様の参考になればと思い全15話をお届けします。

【第2話】 岩田 進(代表取締役 CEO)がお届けします
「データドリブンでマーケティングを再現性のあるものにしたい」。
そんな想いから立ち上げた小さなプロジェクトチーム。私たちは、マーケティング施策を構成する要素を1つひとつ分解し、最適な組み合わせパターンを探し続けました。
目的(Why)、ターゲット(Who)、訴求内容(What)、タイミング(When)、メディア(Where)、表現(How)──それぞれに5パターンずつ設定すれば、5の6乗で15,625通りになります。
理屈では合っていても、実際にこの全パターンで検証可能な広告出稿量を用意するのは現実的ではありませんでした。やればやるほど、複雑化しすぎてしまう。
仮に出来たとしても、それは一部の企業にだけ提供できる“コンサルティング型サービス”止まりです。私が目指したのは、もっと多くの企業を、もっと手軽に、継続的に支援できる仕組みでした。
誰もが使える“プロダクト”として形にすること。
そこに、私は強いこだわりを持っていました。
『データドリブン・マーケティング』との出会い
行き詰まりを感じていたある日、1冊の本に目が留まりました。『データドリブン・マーケティング』──Amazon創業者のジェフ・ベゾスが「社内の教科書」にしているとも言われる一冊です。
タイトルを見た瞬間、これは間違いなく自分の求めていたものだと直感しました。
実際に読んでみると、そこにはまさに私が描いていた構想がありました。マーケティングの企画・実行・振り返り・改善という一連のサイクルを、いかにデータをもとに組織の能力として高めていくかが、具体的かつ体系的に記されていたのです。
そしてその改善サイクルを管理する概念こそ、「マーケティング・キャンペーン・マネジメント(MCM)」と呼ばれていました。
この考え方をプロダクトに落とし込めたら、どれだけ多くの企業の力になれるだろう──そう思った私は、強く心を揺さぶられ、目指すべき方向が明確になったのを覚えています。

社内での共有、そして共感の兆し
この本との出会いをきっかけに、私は社内にもその思想を少しずつ伝え始めました。
ちょうどコロナ禍ということもあり、幹部とのオンラインランチ会を定期的に開催していました。経営会議とは異なり、少し抽象的な価値観や未来の話もできる場です。
その場で、私は話し始めました。
「最近、すごくいい本に出会って。ジェフ・ベゾスも推している『データドリブン・マーケティング』って本なんだけど、まさに自分が目指していたことがそこに書かれてたんだよね。」
「データに基づいてマーケティング全体をマネジメントしていく。プロセスを再現性あるものとして組織に落とし込んでいく。そんな未来を、自分たちのプロダクトで実現したい。」
その場では「そんな本があるんですね」「面白そうですね」といった反応でしたが、私としてはとにかくまず“思想を熱を込めて伝える”ことに意味があると思っていました。
思想が、組織の言葉になった瞬間
ある日、社内Slackの全社員向けチャンネルに投稿されたCFO・赤澤のメッセージを見て、私は胸が熱くなりました。
【cfo_post vol.86】
「データとテクノロジーによって、世界中の企業によるマーケティング活動を支援し、売り手と買い手の幸せをつくる企業になる。」
これは、私たちが掲げるビジョンです。
支援対象となるマーケティング活動とは何か? それを現実的に絞り込んでいく必要があります。
本書では、このプロセスを“マーケティング・キャンペーン・マネジメント(MCM)”と呼んでいます。私たちも、この仕組みを支える存在になりたいと考えています。

それは、私が頭の中だけで温めていた“思想”が、組織内で言葉になり、共有され始めた瞬間でした。CFOという経営の中核が同じ方向を見てくれているという事実が、大きな後押しとなったのです。
この時点では、まだプロダクトの形は見えていませんでした。でも、「この思想をなんとかカタチにしたい」という確信だけは、強く、揺るぎないものでした。
私はプロジェクト名をこう名付けました。
「マーケティング・キャンペーン・マネジメント (MCM)」──すべてはここから始まりました。
次回は、思想が組織の中に静かに根を下ろし始めた、ある一人の共鳴から始まる物語です。
CFO赤澤がマーケティングにおける「プロセス」の重要性に目を向けたことが、プロダクト化への現実的な道を切り拓く転機となりました。
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