【アドエビスのうらが「わ」】ACM開発ヒストリー~第13話 ロゴが世界観を語り始めた日~

弊社の新サービス「AD EBiS Campaign Manager」が、2025年5月に正式リリースとなりました。
構想から約3年、リリースに至るまでのストーリーを公開することでプロダクトへの愛を感じていただき、そして製品開発を行う皆様の参考になればと思い全15話をお届けします。

【第13話】 岩田 進(代表取締役 CEO)、吉本 啓顕(執行役員)、樋本 直巳(クリエイティブデザイン部)がお届けします
吉本──要件は満たしていたはずだった
ロゴ制作の最初の指示を出したとき、私が重視したのは2つの要素でした。
- アドエビスのロゴと並べても違和感のない親和性
- サービス名が明確に伝わること
新サービスとはいえ、営業提案ではアドエビスとセットで語る場面が多くなるはず。抽象的なアイコンより、まずは名称を覚えてもらうことが大事だと考えていました。
最初に樋本さんから上がってきた案は、その要件をきちんと満たしていました。私は迷わず「これでいこう」と判断し、岩田さんに提示。

しかし返ってきたのは――
「これは違う」という明確な一言。
3年間の試行錯誤を経て生み出した新規性の高いサービスであるにもかかわらず、その魅力や独自性がロゴからはまったく伝わってこない──それが理由でした。
その後、私は樋本さんと再び方向性を協議。
「アドエビスとの親和性」と「新規性」。
一見相反するこの二つを両立させるという、難易度の高い要件を背負うことになったのです。
樋本──ズレを解消するために
最初に吉本さんから受け取った依頼は、ADEBiS Syncに寄せたロゴタイプ(テキストベース)の制作でした。
そのため、そこまで深く考えず、要件通りの案と、少しアレンジを加えた別案を数点提出。

しかし、「同質化しすぎている」との評価で方向転換。
サービス名が長いため「ACM」の略称も試しつつ、
「成功確率の向上」「組織知化」「改善サイクル」「一元管理」「AI」などのイメージを散りばめた派生案を制作しました。

それでも岩田さんからは「これは違う」と一刀両断。
進めていた案が白紙に戻り、チームと岩田さんの間に存在するズレを痛感しました。
そこで、直接やり取りすることに。
岩田さんから直接オーダーを聞くと、これまで伝え聞いていた内容とは比べものにならないほどスケールの大きなものでした。
「世の中にまだない新しいサービス」をロゴで表現すること――。
そのために、サービスのコンセプトやロゴに込める思想、さらに表現の方向性まで詳細に伺いました。
加えて求められたのは、デジタルだけでなく、人や組織といった“アナログ感”の表現。
例として挙げられたのは、有名書道家の躍動感あふれる作品。
正直、このハードルの高さに頭を抱えました。
そこで私は「形」と「色・装飾」に分けて要素を整理。
改善サイクルや成長を形で表し、デジタル(データの蓄積)とアナログ(集合知の交差)を色や装飾で表現する方針を固め、試行錯誤を重ねました。

岩田──「違和感がないこと」が、最大の違和感だった
最初に吉本と樋本がまとめたロゴ案を見た瞬間、私は「全く違う」と感じました。 ロゴは、そのサービスが「何者なのか」を端的に伝える存在であるべきです。
我々の新サービスは、マーケティングの世界に新しい概念を持ち込む、前例のないもの。
だからこそ、ロゴには新規性――つまり「いい意味での違和感」が必要です。
ところが提示された案には、驚きも引っかかりもない。
違和感がないこと自体が、最大の違和感でした。
そこで率直にこう伝えました。
「これは既視感がある。われわれのコンセプトが表現されていない」
デザインは、1ピクセル違うだけでも微妙に印象が変わるものです。
ましてや、現状は大きくズレた状態。
この状況で伝言ゲームを続ける意味はありません。
そう判断し、私は樋本と直接やり取りすることにしました。
属人化しがちなマーケティングに「プロセス」という概念を持ち込み、
AIを含むテクノロジーで個人技を組織の力へと引き上げる。
さらに、それを持続的に高い成果へとつなげる仕組みとして具現化する――
その思想をロゴに込めてほしいと。
修正を重ねる中で、「これは近づいてきた」と思える瞬間がありました。
人のアナログ的な要素と、テクノロジーの無機質な要素がひとつのループとなり、力強く発展していく姿が見えたときです。
その形には、確かに私たちの思想が宿っていました。
チームが感じた「いよいよだ」
最終的に完成したロゴは、
改善サイクルと成長を象徴する形に、
デジタルとアナログが交差する色彩をまとっていました。
そこには、「我々は何者なのか」という存在意義が、言葉を超えて込められていました。

吉本はこう振り返ります。
「チーム全体に高揚感と一体感が生まれた」
樋本はこう語ります。
「印象に残るロゴになった。まずはこれでサービス名を覚えてもらえれば」
そして岩田は確信しました。
「これで私たちの世界観を世に問える」
こうしてロゴは、単なるビジュアルではなく、
チームの物語を背負い、サービスの思想を体現する存在となり――
その瞬間、ロゴに魂が吹き込まれたのです。
次回予告|第14話 “受け身”から“自分ごと”へ──自分ごと化が生んだ推進力
与えられた役割をこなす──最初はそれで十分だと思っていた。
だが、目の前に積み重なっていく未整理の情報と、進んでいる実感の乏しさ。その違和感が、心の奥で小さな芽を生んでいた。
「自分が進めたい」──そう思えたとき、行動は変わり始める。
壁打ち、整理、そして提案。
小さな一歩が、やがてチーム全体を動かしていった。
吉本の重責に触れた瞬間、覚悟は「支える」から「共に担う」へ。
その変化が、受け身のチームを推進力ある組織へと変えていく。
≪ 第12話
第14話(Coming Soon…) ≫
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