【アドエビスのうらが「わ」】ACM開発ヒストリー~第12話 確信が生まれた日~

弊社の新サービス「AD EBiS Campaign Manager」が、2025年5月に正式リリースとなりました。
構想から約3年、リリースに至るまでのストーリーを公開することでプロダクトへの愛を感じていただき、そして製品開発を行う皆様の参考になればと思い全15話をお届けします。

【第12話】 岩田 進(代表取締役 CEO)、吉本 啓顕(執行役員)がお届けします
岩田──これはいける、確信の背景にあった視座の変化
2023年。ChatGPTの進化は、私たちの思考に大きな転換をもたらしました。
このインターフェースこそ、私たちが構想していた「マーケターを支援するテクノロジー」にぴったり当てはまる──そんな強い直感があったのです。
なぜなら、マーケティングの情報には定量と定性の両方が混在しています。それらを綺麗に構造化して格納しようとすると、登録にも解析にも大きな労力とスキルが求められてしまう。
実績を蓄積しても、次の一手が見えない──
そんな壁に、私たちは長らく悩まされてきました。
登録された施策や成果の情報をもとに、次の企画へと橋渡しする。
このプロセスは想像以上に複雑で、従来の「構造化→抽出」というアプローチでは限界がありました。
そこに現れたのが、ChatGPTのようなLLM(大規模言語モデル)です。
自由度の高い検索軸。曖昧な問いにも応えてくれる柔軟性。
そして、誰もが扱える対話形式で、アウトプットをすぐに活用できるレベルまで整えてくれるシンプルなユーザー体験。
「これは熟練のマーケターと会話しているようなものだ。しかも、その能力を誰にでも届けられる」
そう確信したのは、プロトタイプがモニター企業で実際に登録された施策データをもとに、アウトプットを返してきたときのことです。
当然、私はその企業のマーケティングに関する知識はありません。
しかし、何度かプロンプトを叩いてみると、まるで組織に長くいるマーケターが「それなら、こうした方がいいよ」と成功談や失敗談を交えて語りかけてくれているような錯覚すら覚えました。
これは、いける──そう確信しました。
吉本──迷いと確信のあいだで揺れた現場の温度感
岩田さんが「これはいける」と確信を語っていた頃、私自身はまだそこまでの手応えを感じられてはいませんでした。
プロトタイプを動かしながら、まずはこれまでの製品改善と同様に、モニター企業にヒアリングを行いました。
返ってきた反応は芳しいものではありませんでした。
- 「出てくる回答が、一般的な内容に留まっている」
- 「AIって言っても、要はデータ検索だよね?」
- 「むしろハルシネーションが怖い」
——冷ややかな声が、いくつも重なっていきました。
正直、これは厳しいかもしれないと思いました。
早めに岩田さんに報告しなければ──そう感じて、顧客の反応を共有しました。
すると、岩田さんからはこのようなフィードバックがありました。
「誰にヒアリングしている?
モニターに協力してくれてるマーケティング責任者だよな?
最近施策や実績を登録してくれたばかりの人に聞いてもダメだよ。
彼らにとっては、ついさっき自分で登録したばかりの情報が、AIから“整理されて出てきた”だけに見える。目新しさを感じるはずがない。
我々が本当に届けたい価値は、そうした能力の高いマーケターの知見を、個人の頭の中に留めるのではなく、組織知として再現可能にすることだ。
そして、体制や担当が変わっても同じように高い成果を上げられるようにすること──それが、このプロダクトの本質なんじゃないか?」
その指摘を受け、はっとしました。はっとさせられました。
確かに、ヒアリングする相手を間違えていたかもしれない。
「この価値は、届けるべき相手に届けたときに輝く」
すぐにモニター企業の若手マーケターに協力を依頼し、ツールの有無による比較検証を設計しました。
- ツールを使わずに企画してもらう
- 同じ条件でもう一度、ツールを使って企画してもらう
- 両方のアウトプットを、上司であるマーケティングマネージャーに評価してもらう

結果は、誰の目にも明らかでした。
若手メンバーのアウトプットが、段違いに良くなっていたのです。
仮説の立て方、背景の深掘り、そして提案の方向性。
すべてが、これまでの社内知見を踏まえた、実践的な内容に変わっていました。
マネージャーからも、驚きとともにこんな言葉が返ってきました。
「これはすごい。ぜひ正式導入させて欲しい」
その瞬間、ようやく腹落ちしました。
これが、私たちの価値だ。
最後のピースが、音を立ててはまったような感覚でした。
次回予告|第13話 ロゴが世界観を語り始めた日
3年かけて磨き上げた新サービスに必要なのは、顔となるロゴ。
それは単なる記号ではなく、「何者なのか」を一瞬で伝える象徴であるべきだった。
しかし最初の案に岩田は即答した。
「これは違う」──そこに新しさも、引っかかりもなかったからだ。
アドエビスとの親和性と、新規性。
相反する要件をどう両立させるか。
そして、「世の中にまだないサービス」の存在感をどう刻み込むか。
試行錯誤の果てに現れたのは、改善サイクルと成長を象徴し、
デジタルとアナログが交差する色彩をまとった意志のかたち。
その瞬間、ロゴは魂を宿し、世界観を語り始めた。
≪ 第11話
第13話(Coming Soon…) ≫
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