【アドエビスのうらが「わ」】ACM開発ヒストリー~第11話 最後のピースがはまった日~

弊社の新サービス「AD EBiS Campaign Manager」が、2025年5月に正式リリースとなりました。
構想から約3年、リリースに至るまでのストーリーを公開することでプロダクトへの愛を感じていただき、そして製品開発を行う皆様の参考になればと思い全15話をお届けします。

【第11話】 吉本 啓顕(執行役員)、内田 肇(研究開発部)がお届けします

吉本──出口のない違和感と、探せなかった突破口

ベータ版を展開し始めたころ、
ユーザーによる「企画」「実績」の登録は順調に進み、プロダクトチームでは製品化に向けた手応えを感じだしていました。

同時に、利用が進むにつれてこれまで見えてなかった課題も明らかになってきました。

データの登録が進む一方で、データの“活用”には至らない──モニター企業の利用状況をヒアリングする中、そんな声が聞こえるようになりました。

このままでは、本来提供したかった価値である
「知見をもとに次の施策が生まれるマーケティングプロセス」
──を実現できない。
私自身、もどかしさと焦りを感じていました。

この問題に対して、自分たちのチームでは、その突破口を見いだすことができずにいたのです。
何かが足りないのはわかっているけど、どのように解決すればよいのかがわからなかった。

そんな閉塞感が、静かに、けれど確実に積もっていきました。

内田──焦りの中で見えた突破口

アドエビスに蓄積されたデータを活用し、マーケティング課題の発見と解決を目指す──。
そんなミッションを掲げて発足してから、4年が経っていました。

メンバーは3人。専門性の高い少数精鋭です。
当社の事業規模に対して、研究開発に3人を割くのは決して小さな投資ではないことも理解していました。
地道に分析や指標開発に取り組んできましたが、目立った成果は出せていませんでした。

他部署が少人数で事業を支えている中、
「自分たちも何か役に立ちたい」という気持ちは強まっていきました。
その思いが、“短期で貢献できそうなテーマ”を優先する判断につながっていたのです。
便利な社内ツールはいくつも生まれましたが、 「データから意味を引き出す」という本質からは離れていました。

そんなとき、岩田さんから声をかけてもらいました。

「せっかくの研究開発チームなんだから、
もっと大きなテーマに取り組もう。

MCMでは企画情報が蓄積されつつあるけど、
いずれ“そこから意味を引き出す”ところで詰まる。
だったら、今からその未来に備えておいてほしい。」

その一言は、私の背中をそっと押してくれました。
心強く、安心できる言葉でした。
変な焦りは消えて、「じっくり取り組んでいいんだ」と思えたのです。
今すぐ成果が出なくてもいい。
未来の壁を、先に越えておけばいい。

生成AIに見えた希望

そこから、私たちは生成AIに注目しました。
大規模言語モデルの進化には、想像を超えるスピードがありました。
特に、私たちがこれまで越えられなかった2つの壁──

  • 定性的な情報がデータ化されていないこと
  • 分析や仮説生成が属人的であること

──この2つを、生成AIが乗り越えられるかもしれないと感じたのです。
最初は、正直使い物にならないような出力ばかりでした。
それでも、検証を重ねるたびに、少しずつ確信に変わっていきました。

岩田さんとの対話、そして動き出す構想

転機は、年の瀬も迫ったころでした。
岩田さんとの1on1で、生成AIを使ってMCMに蓄積された情報から次の打ち手を導く、簡易デモを披露しました。

「これはすごい。
定量、定性の膨大な情報から、対話形式で知見を引き出す。これだ!」

検討を重ねたデータフロー図

その一言が、「対話型AIアシスト」という構想を一気に動かすきっかけになりました。

最後のピースがはまった日

素材はすでに整っていました。
これまで積み重ねてきた技術や検証の成果をもとに、私たちはすぐに動きました。

3日後にはプロトタイプを完成させ、5日後にはMCMチームに実地検証環境を届けました。

数ヶ月前には見えなかった未来が、急に手元に現れたような感覚。
最後のピースが、音を立ててはまった。
ようやく、自分たちの存在意義を証明できた気がした。
正直、安堵と嬉しさが入り混じっていました。
やっと、本質的な意味でプロダクトに貢献できた。
その実感があったのです。

プロダクトと研究開発がつながった先に

プロダクトと研究開発。
それぞれが異なる場所で感じていた行き詰まりが、生成AIという突破口で静かにつながっていく。
その先に、“知見を引き出せるマーケティング”の未来が、確かに見え始めていました。


次回予告|第12話 確信が生まれた日──プロダクトが価値に変わる瞬間

生成AIによって、長く探していた突破口が見えた──そう思っていた。
研究開発とプロダクトが結びつき、「知見を引き出す」ための道筋は整ったはずだった。
だが、モニター企業から返ってきたのは、冷ややかな反応。
道筋が見えたと思ったが、実はまだ霧の中にいたのかもしれない。

吉本は迷い、岩田は問いかける。
──この価値は、本当に届けるべき相手に届いているのか。
その問いの先で見えたのは、価値の正体を浮かび上がらせる一筋の光だった。

≪ 第10話

第12話(Coming Soon…) ≫


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