GA4のしきい値とは?適用される条件や回避する4つの方法を解説

Googleアナリティクス4(GA4)を活用するなかで、下記のような悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

  • GA4でうまくデータが計測されない
  • 数値が合わないけれど、しきい値が原因?
  • しきい値を回避する方法はあるの?
  • GA4でもっと計測の精度を高めることはできるの?

GA4のしきい値とは、個別ユーザーの身元が推測できないようにする仕組みのことで、適用されると一部のデータがレポートから除外されます。つまり、実際の成果と、GA4上のデータに乖離が生じるということです。

マーケティング施策の成果を最大化するためには、正確なデータ計測による適切な投資判断が欠かせません。そのため、しきい値とはどのようなものか理解し、GA4の活用方法に応じた対策が大切です。

そこでこの記事では、GA4のしきい値の概要や適用される条件、回避する方法をまとめてご紹介します。「しきい値が適用されているかも?」と感じている方は、ぜひお役立てください。

1. GA4のしきい値とは?

GA4のしきい値とは、レポートやデータ探索を使用するときに個別ユーザーの身元が推測できないようにする仕組みのことです。ユーザー数が一定数以下の場合、一部のデータを集計から除外し、個人を認識できないようにします。

例えば、GA4のレポートにおいて「日別データの合計」と「月別データ」が合わない場合、日別データにしきい値が適用されている可能性があります。レポートの数値に実態との乖離がある場合は、しきい値が適用されているかを確認してみると良いでしょう。

なお、しきい値の適用条件はGA4のシステムにより定義されているので、利用者側で自由に調整することはできません。

2. しきい値が必要な理由

GA4にしきい値が設けられているのは、ユーザーのプライバシーを保護するためです。GoogleはGA4において、個人が認識できるデータや個人情報を収集・共有しないことを重視し、ポリシーにも掲げています。

GA4に蓄積されているデータが少ない場合、ユーザー属性やインタレストカテゴリ(ユーザーの興味や関心が分かる項目)から個人を推測できてしまう可能性があります。そのような状況を避けるために、個人を特定できないようにレポートから一部のデータを除外しているのです。

なお、プライバシー保護の動きは、GA4だけによるものではありません。国内外において、法令やWebブラウザがCookieの使用を制限する動きも広まっています。Cookie規制などのプライバシー保護に関する基礎知識については、下記の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

3. GA4でしきい値が適用される条件

既にご説明した通り、GA4でしきい値が適用されるのは、レポートの集計期間におけるユーザー数が少ない場合です。しかし、条件はそれだけではありません。以下2つのうち、いずれかの条件に該当すると、しきい値が適用される可能性があります。

これら2つの条件について、詳しく確認していきましょう。

3-1. ユーザー属性情報が含まれている

1つ目は、レポートにユーザーの属性情報が含まれている場合です。

ユーザー属性とは、国や地域、言語、年齢、性別などの情報です。データ集計期間におけるユーザー数が少ない場合、レポートにこれらの情報が含まれると個人の特定につながりやすいため、しきい値が適用されます。

具体的には、以下のようなケースがあります。

  • ユーザーの識別方法としてデバイスIDが使用されている場合
  • ユーザー数やユーザー属性などの指標がレポートに含まれている場合
  • ユーザー属性のディメンション(生年月日や会員番号など)を定義して使用している場合

3-2. レポートに検索語句の情報が含まれている

2つ目は、レポートに検索語句の情報が含まれている場合です。

GA4のレポートでは、ユーザーが検索エンジンに入力した単語である「検索語句」を分析できます。例えば、「ユーザーがどのような語句を入力して広告が表示されたのか」を分析することで、リスティング広告で効果の出やすいキーワードを絞り込むことができるため、広告運用において重要なレポートの1つといえるでしょう。

しかし、こうした検索語句も個別ユーザーの推測につながる可能性があります。そのため、レポートに検索語句が含まれる場合は、しきい値が適用されることがあるのです。

4. GA4でしきい値が適用されているか確認する方法

GA4でしきい値が適用されているかどうかは、各レポートを見れば判断できます。

しきい値が適用されている場合、レポートの右上に注意喚起の「!」マークが表示されています。このマークをクリックすると、以下のように「しきい値を適用しました」と表示されます。

一方で、しきい値が適用されていない場合は、同じくレポートの右上に緑色のチェックマークが表示されます。マークをクリックしても、しきい値に関する表示は出ません。

5. GA4のしきい値を回避する3つの方法

GA4のしきい値は利用者側で調整はできませんが、回避する方法があります。

しきい値が適用されると一部データが欠損し、マーケティング施策の成果を正確に把握することが難しくなるケースがあります。実態と乖離したデータで施策を評価すれば、誤った投資判断につながりかねないため、回避する方法を把握しておきましょう。

5-1. 計測期間を長めに設定する

GA4のしきい値は、データ集計期間のユーザー数が少なく、個別ユーザーを推測できそうな場合に適用されます。そのため、レポートの対象期間を長めに設定し、総ユーザー数を増やすことも回避方法の1つです。

例えば、1週間のデータでしきい値が適用された場合は、2週間や1ヶ月などと期間を長くしてみましょう。それにより総ユーザー数が増えると、しきい値を回避できる可能性があります。

5-2. ユーザー属性情報を含めないようにする

レポートにユーザーの属性情報を含めないようにすると、しきい値を回避できることがあります。例えば、下記のようなユーザー属性情報がデータに含まれている場合は、レポートの項目から除外してみましょう。

  • 国や地域、市区町村
  • 年齢
  • 性別
  • 趣味や関心 など

ただし、レポートからユーザー属性を取り除くとデータの質が低下し、必要な分析ができないことがあるので注意が必要です。事前に「何を分析したいのか」をしっかりと整理したうえで、対応しましょう。

5-3. BigQueryを利用する

BigQueryを利用することも、しきい値を回避する方法の1つとして有効です。

BigQueryとは、大量のデータを高速で解析できるGoogle提供のクラウドサービスです。GA4からBigQueryにデータをエクスポートすると、Googleシグナル由来のユーザー属性といったデータは反映されません。そのため、しきい値が適用されることなく集計・分析を行うことができます。

しかし、BigQueryを使いこなすには一定の専門知識が必要なので、マーケターや初心者が活用するのはなかなか難しいでしょう。 また、BigQueryとGA4ではユーザー数の乖離が起こることがあり、両者を併行して活用する場合は注意が必要です。

GA4とBigQueryの連携については、こちらの記事でも紹介していますので、参考にしてみてください。

6.おわりに

この記事では、GA4のしきい値について詳しく解説しました。GA4はプライバシー保護のためにしきい値を設けているため、正確なデータ計測が難しいケースがあります。データの精度が低いと投資判断を誤ってしまうリスクがあり、マーケティング成果や戦略に影響を及ぼす可能性があるでしょう。

アドエビスにはしきい値は存在せず、実数値での計測データを表示しています。
実数値でのデータ計測がしたい場合は、アドエビスを活用しましょう。また、高精度なデータ計測をするため、ITPによるCookie規制に対応した計測を実現するITP対応プログラムを設定しておきましょう。
※設定方法はこちらをご確認ください。

2024年4月に開催した、「Cookie規制の影響とアドエビスの対策を30分で総整理」というウェビナーでも、Cookie規制についての説明や、アドエビスがどのような対策を行っているのかをご紹介しました。
その内容はこちらの記事にて、アーカイブ動画とともにご紹介していますので、ぜひ読んでみてください。

【ウェビナーアーカイブ】Cookie規制の影響とアドエビスの対策を30分で総整理を読む

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