「新人Aのデジマ奮闘記」 第3話/獲得施策の改善の着手は『〇〇から』

------この物語は、とあるサプリメント事業マーケティング部に配属された新入社員Aが
1人前のデジタルマーケターになるまでの努力と成長ストーリーです。

前回までのお話はこちら
・「新人Aのデジマ奮闘記」 第1話/はじめましてWebマーケティング。予算配分ってどう考えるの?
・「新人Aのデジマ奮闘記」 第2話/アレルギーが出そう…指標ってどれからみたらいいんだ?!

1. 「CV・CPA・CVR」をベースに削除候補を探そう

株式会社えびすたろう、春。EC事業部に配属された新人Aは先輩Bに習いつつ、「獲得施策」の予算削減対象、投資強化対象を「CV・CPA・CVR」を元に選んでいた。

よし、早速獲得施策を『ツールCPA』から比較してみるか。

削減対象はCPAが高いFacebookとYDNのリタゲかな…!先輩、この2つバッサリやめちゃっていいと思います。

まずは改善すべき媒体を見つけたのはいいですね!ただ、バッサリまるごと予算をカットするにはまだ早いです。
広告は媒体ごとにいくつか「グルーピング」ができることを知っているかな?

グルーピング、ですか?
正直、研修でならったけどよくわからなかったです…。

2. データの粒度が大切!ドリルダウンでさらに細かくチェック

では、この図を使って説明します。多くのリスティング広告やディスプレイ広告は以下のようなデータの粒度でドリルダウンが出来るようになっています。
Aくんがみていたのは『大×中』粒度のデータですね。

はい、そうです。

今回、Aくんが全面的にストップしようと思っていたのは、「中」粒度の『キャンペーン【1】』だったとします。
『キャンペーン【1】』をドリルダウンすると、広告グループが2つあることに気が付きますね。

はい。広告グループ①と②がありますね。…あ!

もう気がついたかな?複数の広告グループがある場合は、いずれかの広告グループは良いけど、他が悪くなることでキャンペーン【1】全体の効果が悪くなっている可能性があるのです。
そんなとき、キャンペーン【1】を止めると…?

うわ!とても、もったいないですね。中には、効率よく獲得できている広告があったかもしれないのに…!

そのとおりです。データは大きな粒度から小さな粒度へドリルダウンし、「分けて考える」ことが重要なのです。

では最小の粒度の「広告文」・「キーワード」・「クリエイティブ」もドリルダウンして調整が必要なんですね。

そのとおりです。でもこのあたりは、掛け合わせで見るとすごい数になるので、広告文レポート・キーワードレポート・クリエイティブレポートで見ていくことが多いのです。
予算削減の前に広告グループまでドリルダウンしようね。

わかりました。先輩、質問させてください。

広告のドリルダウンはこれで出来ると思うのですが、ユーザーが「広告クリック」→「ランディングページ」→「カート」→「確認ページ」→「CV」とページを遷移する中で、どんなタイミングでページから離脱するか?ってデータでわからないものでしょうか。

お、いい質問だね。それでは宿題として、考えを明日のMTGで聞かせてね!

(うわ、また宿題になってしまった…)
わ、わかりました。いろいろサイトで調べてみます。

帰宅後・・・

Aくん、おつかれさまです!
今日はレポートづくり、どうでしたか?

Web広告運用で大事なのはデータの粒度だということが改めてわかったよ。あとからドリルダウンしてどこが悪いか確認できるようなアカウント構成にする、って大事だね。

そうです!今日習ったのは「悪い広告」のデータ抽出のみでしたが、「悪い広告」にかけていたコストを「良い広告」に配分し直して、CV数をもっともっと獲得できるといいですね。

うん頑張るね。ところで、エビスくんWeb広告の運用の考え方やテクニックって他にもあるのかなぁ。
例えば、CVに至るまでのページの中で、どこで離脱しやすいか、とか。CPAが高いときはこの指標をみて、『こう判断・アクションするといいよ。』みたいな指南書とか。

考え方はわかったんだけど、どうアクションするか悩んでて。

なるほど。その疑問は
①ユーザーのサイト内回遊を計測する
②計測結果を可視化する
ことで解決しそうですね。せっかくなので、自分で①②を考えてみるといいですね。

うう、そうカンタンに答えは教えてくれないよね。
よし自分が「エビス美容液」を買う時の例を考えてみよう!

エビスくんに言われるがままにユーザーの行動と広告運用のアクションイメージをそれぞれつくることにしてみた新人A。ボトルネックと実施すべきアクションがパっと分かる、その方法とは?

3. 先輩Bのよく分かる解説

アカウント>キャンペーン>広告グルーピングとドリルダウンして「抑制対象広告」がわかるようになった新人A。
ユーザーの「広告クリック」→「ランディングページ」→「カート」→「確認ページ」→「CV」の行動の中のボトルネックがあるかを見つける方法を考えることに…。

よし、エビスくんのアドバイスをもとに、実際に考えてみるか…。
ユーザーとして自分のよく買う化粧水だとこんな感じだったかな。

3-1. 一般的なECサイトの例

3-2. 「広告→LP」と「サイト内遷移」を分けて考える

まずは「ユーザーの実際のサイト内の回遊」を把握できる「指標」を探さなければ…!ランディングページから先の部分かな。

あ、買う人はどんな広告から入ってきたとしても『カート』や『個人情報入力』ページって、絶対通るページだ。
いつも一番最後の「購入完了」ページしかCVとして測ってないな…。
もしかしてココがヒントかも。先輩に聞いてみよう!せんぱーい!

おはよう~!難しかったかな?お、良い図を用意しているね。

本当ですか?気がついたんですが、『購入する人』ってどんな広告から入ってこようと絶対『カート』に商品を入れた後って同じページ遷移をしないと購入できないな、って思いまして。ココをうまく計測できたらどれくらいの割合で買ってくれそうか?がわかる気がしています。

すばらしいね。そのとおりです。この『カート』から先の遷移をこんなふうに計測できると『LP→カート』に遷移したユーザーのうち、どのくらいの人が買ってくれそうか?のある程度予想がつくようになります。
買う気がない人は『カートページ』から先に進みにくいしね!

なるほど!
先輩、このUUってアクセス解析ツールで確認するんですかね?

はい。今回はCVにつながっているか?の流れがわかるアクセス解析ツールであればOKです。私達のミッションが広告経由のCVの最大化だから広告計測と掛け合わせてみれるほうがより良いですね!例としては、こういった形で見えるのがベターです。

ふんふん、なるほど。この例だと、カートにさえ入れると30%のユーザーは買ってくれる、ということですね。

そうです。他にもこのUU数の推移から『商品選択』→『個人情報入力』までに半数離脱していることがわかりますね。ここは大いにサイトの改善余地があります。例えば入力フォームをできるだけ少なくしたり、郵便番号を入れると自動で住所が入ったり…というふうにするといいかもしれません。

広告の成果をあげようと思うと、ユーザーがスムーズに買えるようなサイト内の改善も合わせて必要なんですね!

そうです。基本のキとしては、「CVに近いところから改善」です。
せっかく買いたい気持ちになった人が離脱してしまうと機会損失になってしまうので、一番もったいないのです。

3-3. 「中間CV」を設定する

では、ココでもう1歩踏み込んで!ボトルネックがどこかわかったら『カゴに入れたこと』を中間CVとして計測しちゃいましょう。

ええっ!CVって、売上につながる成果を測る指標じゃないんですか?

実はそれだけではないのです。意外かもしれませんが、Aくんの例のようにランディングページからCVページまで複数ページを挟むケースは中間CVを設定することがあります。

意外かな?実は、こうすることで、いくつかメリットが生まれます。具体的には、
①施策別にユーザーフローのうち、どこにボトルネックがあるかわかる
=実際に成果が出る前に高速でPDCAがまわせるようになる。
②リターゲティング広告の配信対象ユーザー数が増えやすい
です。
他にも、検討期間の長い商材を扱うサイトでもよく使われる方法です。

なるほど、知らなかったです。そんな使い方もできるんですね。とても面白いです!

そうでしょう。
ツールによっては複数のCVポイントの内訳も知れるものがあるので、広告の成果と合わせて確認するときはこんな形で見えるといいですね。

すごい!これですぐにボトルネックになっている箇所がわかりますね。早速設定してみます!

4. おわりに

データから、改善ポイントを見つける方法を身につけることができた新人A。

次回、第4話「獲得施策以外の評価って、何から手を付ける?」をお楽しみに!

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