「新人Aのデジマ奮闘記」 第2話/アレルギーが出そう…指標ってどれからみたらいいんだ?!
------この物語は、とあるサプリメント事業マーケティング部に配属された新入社員Aが
1人前のデジタルマーケターになるまでの努力と成長ストーリーです。
1. 各媒体管理画面をチェックしよう
先輩Bと予算配分シミュレーションでまずは運用のイメージを掴んだ新人A。
次なる仕事は各媒体にログインをし、現状をまとめる、というものでした。
Aくん、午後はデータを実際にまとめてみる作業をお願いしたいです。入稿の内容を触る前に、まずは先週分の計測結果をダウンロードして、どこを調整するかを決めましょう。はじめはGoogle・Yahooから。
わかりました。媒体の管理画面のログイン情報を教えて下さい。ダウンロード初めてで緊張します…!
はい、ID/PASSと先々週のデータとダウンロードマニュアルを送るので、この元データと同じものを作ってみてね。
うわ!たくさんの媒体をつかっていると、ダウンロードだけでも結構大変ですね。
そうですね。広告代理店さんが週次/月次でレポートしてくれるんだけど、客観的にデータを見るためにいつも集計しています。成果を出すには、自分でもしっかりデータを見てパートナー企業と一緒に改善点を考えることが重要です。最初は戸惑うけど慣れたらカンタンだから、練習してくださいね。
なるほど自分でも改善点を見つけることが大事なんですね。 先輩、ダウンロードができたらまた声をかけますね。
ダウンロードに苦戦しながら、先週分データを加工する新人A。加工していると、あることに気が付きます。
できたー!って、あれ…?CV数が媒体と計測ツールでこんなに違うんですか?! 先輩、データが合わないので考察ができないです…。
2. 媒体管理画面と計算ツールの数値が違う理由とは?
お、早速ダウンロードと集計ができてすばらしいです。 どこのデータが合わないかな?
はい。媒体とツールのCV数とCPAが何度やっても数件どころか、数十件合わなくて。何が間違っているんでしょうか?
なるほど、媒体134CV、ツール96CV。この期間の実際の注文数は98件で4件はキャンセルされたので、ツールの数値が正しいですね。 ココでAくんに質問。ツールや媒体のロジックが違うので、全く同じにはなりにくいのですが、どうして媒体がこんなにもCV数が多いと思いますか?
うわ、本当だ…媒体と実注文数が大幅にちがいますね。 でも、なんでこんなことが起こってしまうんでしょう。 さっぱりわかりません…!
実際にはたくさんの理由がありますが、事前に知っておくべきは媒体の仕様が2つです。 1つは『ユーザーが複数媒体をどの順番に接触したかわからない』こと、2つめは『コンバージョン計測のタイミングがズレる』ことです。次の図をみてください。
理由1.ユーザーが複数媒体をどの順番に接触したかわからない
Facebook・Google・Yahooをクリックした人がすべて同一人物かもしれないが、媒体上では1件ずつとカウント。
理由2.コンバージョン計測のタイミングがズレる
媒体は「最後に広告がクリックされた日」、ツールやカートは「CVした日」にコンバージョンがカウントされる。
なるほど、これらの特性を加味して「クリックや広告コストは媒体データ」「CVは計測ツール」で見ないと実際の注文件数と異なり、予算配分しようにもミスリードしますね。気をつけよう。
そういうことです!さぁ、データがきれいに整ったので、いざ考察です。 早速どれから調整したら良いか考えてみてください。
はい!やってみます。
今日の残りの時間はコレをすすめましょう! 明日の朝のMTGで解説です。それまでに「どこをどう調整するか?」を理由とセットで用意してね。
3. 【クイズ】目標とのGAPを埋めるための指標はどれ?
◆問題
この表は媒体データ+計測ツールで先週のデータを確認した結果です。各広告を以下の指標を使って目標設定し、良し悪しを評価するならどの指標を選択しますか?
帰宅後・・・
うう。考えるのは楽しいんだけど、前回のシミュレーションゲームと違って、問題がなんだか抽象的だし、見るべき指標がいっぱい過ぎてわからないな…。
Aくん、おつかれさまです! 今日もなんだか難しそうな顔をしていますね。
エビスくん、昨日はありがとう。実は今日も難しい問題が出ちゃって、レポートの指標が多すぎてわからないんだよ。 見ているだけで混乱して、アレルギーが出そう…。
Web広告は指標がたくさんあるから、混乱しますね。 そんなときは昨日のパーチェスファネル図を使って広告の役割と見るべき指標を最大3つまでに整理するといいですよ。
昨日のパーチェスファネル図がまた役に立つの?! エビスくん、すごいね。「広告の役割」か…! ヒントをありがとう。もう少し考えてみるね。
またしてもエビスくんから有力なヒントを得た新人A。正しい指標を選び取れるのか。
4. 先輩Bのよく分かる解説
先輩!おはようございます。ちょっと今日のは自信ないです…。 今日のMTGはお手柔らかにお願いします。
おはよう~難しかったかな?
はい。実務になるとゲームみたいにうまく考えられないですね。 これをもとに、いざお金を動かすと思うと冷や汗がいっぱい出ます。。。早速答え合わせ、お願いします。
4-1.出稿目的と獲得指標ってなんだっけ?
結論から言うと『どの指標を見ていいか』さっぱりわかりませんでした。 ただ自分なりに、前回の「パーチェスファネル図」を埋める形で考えてみたのですが、そもそも施策の出稿目的はあっているでしょうか?
わからないなりに仮説をもって考えるのは良いことです! 目的に立ち返り、この図に当てはめるのは素晴らしいですね。どうしてこの図を選んだのか、教えて下さい。
前回のシミュレーションゲームのポイントで「獲得系施策から着手」とあったのですが、自社の広告の出稿目的が明確になっていなかったので、そこから手をつけないとダメかなと思いました。
そのとおりです。施策は「認知」「検討」「購入」の3段階で大きく分けることができます! 『知ってもらってすぐ買ってくれる』のが理想ですが、残念ながらそんなにすぐに買いたい!となる人の数はいません。「ほしいな」と思ったときに『あ、そうそうあの商品…!』と思い出してもらうための施策や『へぇ~こんなのがあるんだ!』と知ってもらう施策も重要なのです。
おお、なんだかホッとしました!ありがとうございます。では実際に獲得施策から見ていくべきですね。獲得施策セルを赤く塗ります。
いいですね。獲得目的の施策は、やはり「購入」してもらうことが最も大事です。この場合はどの指標をチェックしましょうか?
やはり、CPA・CV・CVRでしょうか?安く・たくさん・高確率で獲得できるのが良い広告だと思います。となると、『Yahoo!SSの商品名』 『Yahoo!SSの社名』がとてもよく、『Facebookリタゲ』や『YDNリタゲ』についてはCPA高騰原因の深堀が必要ですね。
正解です! 実際にどう深堀りしていくか?はもっと具体的なデータと目標値とセットで見る必要があるので、取り急ぎ、今日はもっと伸ばすべき箇所・改善すべき箇所がわかればOKです。この調子で「認知~検討施策」も考えてみましょう。
4-2. 認知施策の評価指標って何がいい?
「認知~検討施策」は、「知るきっかけづくり」だから、「はじめのきっかけになりえた回数やたくさんのユーザーを連れてきている」ことがわかる指標ですね。となるとimp・CTRなどでしょうか?
おお、いい線ですね。impやCTRは「表示された回数」「クリックされた率」なので、もちろん短期的にはこの指標をチェックするのは正しいです。一方で、何か観点が抜け落ちてしまいます。さてそれは何でしょう?
う~ん。そうですね…。「購入する人」の役に立ったか?という視点ですか?でもそれってすぐには見えないんじゃないでしょうか?
そうなんです。そこを補うのが「計測ツール」です。Cookieという技術を用いて、クリックした順番を記録していることが特徴です。 初回接触・間接効果といったアシストの指標を使いましょう!
なるほど、ユーザーが経由してきた広告の順番がわかるから、出稿目的によって見るべき指標を変えることもできそうですね!
5. おわりに
データを正しく閲覧する方法を身につけることができた新人A。
次回、第3話「獲得施策の改善の着手は『〇〇から』」をお楽しみに!