【2024年版】Cookie規制とは?日本の状況・影響・対策方法まで解説(その2)

Cookie規制とは、法規制やブラウザの自主規制によって、Cookieの利用が制限されることを指します。しかし、Cookie規制の詳しい内容や影響について正しく理解できている方はどれほどいるでしょうか。

「近々、Google ChromeもCookieを規制するらしい!」

「Cookie規制って最近よく聞くけど、どんな対応をすればいいの?」

このように考えている方は、この記事を読んでCookie規制への理解を深めていただければと思います。

Cookie規制とは?日本の状況・影響・対策方法まで解説(その1)」では、海外と日本の法律やブラウザによる、Cookie規制の内容について解説しました。

それでは、3rd Party Cookieが規制されると具体的にどんな影響があるのでしょうか。

この記事では、企業がCookie規制にどう対応していく必要があるのかを理解するための第二弾として、Cookie規制がWebマーケティングに与える影響や、具体的に実施すべきことについて解説します。

※2024年8月8日時点の情報です。

\ウェビナーアーカイブ/
今さら聞けない!?Cookie規制の影響とアドエビスの対策を30分で総整理

1. マーケターの87%がCookie規制の影響を既に実感している

日本でのCookie規制の影響は、現状では一部のブラウザによるものだけです。日本でのブラウザ使用率1位のChromeでは現時点では本格的な規制がされていないため、「実際そんなに影響はないのではないか?」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、弊社(株式会社イルグルム)が2024年2月に実施したアンケート調査(※)によると、既に多くのマーケターがCookie規制の影響を懸念・実感しています。

※調査対象:事業会社・広告代理店のWebマーケター201名

まず2024年度のWebマーケターの関心事項として、「Cookie規制に伴うChromeの3rd Party Cookieの廃止」が第1位という結果となりました。

また、3rd Party Cookieの廃止による「広告運用への影響」を懸念しているマーケターは、全体の約92%に上ります。

さらに、3社に1社が「可能な限り早く3rd Party Cookie廃止への対応を行うべき」と回答しています。
2024年7月に、Chromeの3rd Party Cookie廃止は撤回するとの発表がありましたが、他ブラウザでの規制状況も踏まえ、対応を意識する必要はありそうです。

現時点で実感しているCookie規制の影響として「コンバージョンの乖離が大きくなった」と回答した人は、57%という結果となりました。

これらの結果から、Cookie規制はWebマーケターにとって無視することのできない重要課題であることが分かります。実際に影響を感じているマーケターも多いため、早急な対応が必要です。

2. 3rd Party Cookie規制がWebマーケティングに与える影響

日本のCookieに関する法規制はEUと比較すると厳格とはいえず、特定の状況以外ではユーザーへの事前同意取得の義務付けはありません。しかし、ブラウザによるCookie規制の影響は既に出ています。

それでは、3rd Party Cookieが規制されると具体的にどんな影響があるのでしょうか。

2-1. リターゲティング広告が制限される

3rd Party Cookieが規制されることで影響が大きいものに「リターゲティング広告」があります。

リターゲティング広告とは

第三者のアドサーバーからCookieを付与(3rd Party Cookie)することで、自社サイトの訪問履歴があるユーザーがサイトを離脱した後にも追跡して広告を表示できる手法

3rd Party Cookieの利用が制限されると、3rd Party Cookieの仕組みを活用したリターゲティング広告も利用が難しくなります。

自社商品やサービスに興味を持っているユーザーにアプローチできるリターゲティング広告は、広告効果が高い手法といえます。このような広告が出しづらくなることは、マーケティングにおいて大打撃になりえます。

特に、リターゲティング広告をメインに収益化している企業は、新しい広告戦略を打ち出す必要があるでしょう。

※もし配信におけるターゲティングに、「3rd Party Cookieを利用しているのか?利用している場合、規制に対してどう対応する予定なのか?」など、気になる点がある方は、媒体社へ相談することをおすすめします。

2-2. 正確なコンバージョン計測ができない可能性がある

3rd Party Cookieが規制されると、サイト内で別ドメインが発行したCookieが基本的に無効化されてしまいます(または一定期間で削除されてしまいます)。そのため、コンバージョンを正しく計測することが難しくなります。

例えば、下記のように商品注文数と各プラットフォームのコンバージョン数が合わず、判断に困るケースが出てくるでしょう。

正確なコンバージョン数が計測できないと配信した広告の費用対効果の把握が困難になり、適切な広告運用がしにくくなります。

3. 3rd Party Cookie規制に対応するために企業が実施すべきこと

ここまで説明したように、Cookieに対しての法規制やブラウザの自主規制が近年進んでおり、その影響を既に感じているマーケターも高い割合となっています。

プライバシーや個人情報保護を重視する流れがある中で、今後もCookie規制が厳しくなる可能性があります。こうしたCookie規制に対応するために企業が今後実施すべきこととは何でしょうか。
結論からお伝えすると、1st Party Cookieの活用・Cookieレスでの計測など複数の方法を取り入れてCookie規制の影響を受けない基盤を整えることが大切です。ここでは、具体的にどのような取り組みができるのか解説していきます。

Cookie規制に対応するために企業が実施すべきこと
  • 3rd Party Cookieへの依存をやめる
  • コンバージョンAPIを活用する
  • 保有している利用者情報の状況を把握する
  • プライバシーポリシーを作成してユーザーに周知する

3-1. 3rd Party Cookieへの依存をやめる

もし現在、3rd Party Cookieを活用した広告配信や効果計測に依存しているならば、まずはそこからの脱却を考えましょう。なぜならば、3rd Party Cookie廃止の動きは今後も止まらないと想定されるからです。

既にSafari(ブラウザシェア率25.35%)とFirefox(ブラウザシェア率3.83%)では、3rd Party Cookieがほぼ使えない状況にあります。つまり既にサイト利用者の約3割は3rd Party Cookieを利用できないということです。

今後の法改正やブラウザの規制によって、3rd Party Cookieを利用できないケースはさらに増えると予想されます。

広告配信では、Cookieの代替技術を取り入れる必要があります。そして広告効果の計測では、Cookie規制の影響を受けない1st Party Cookieを活用した計測・分析環境を整えることが大切です。

※アドエビスではデフォルトで1st Party Cookieを使った計測を行っていますが、
 ITPによるCookie規制に対応した計測を実現するITP対応プログラムも提供しています。設定方法はこちら

3-2. コンバージョンAPIを活用する

3rd Party Cookieの規制によりコンバージョンデータの欠損が増えると、精度の低いデータをもとに判断をしなければなりません。広告媒体の機械学習の精度も低下するので、広告の成果が悪化する可能性があります。

代替案として、ファーストパーティデータを媒体に戻して機械学習に活用する「コンバージョンAPI」を活用しましょう。コンバージョンAPIは広告主のサーバーから広告プラットフォームのサーバーに直接データ送信するため、Cookie規制の影響を受けません。

精度の高い計測データを活用できるため、Cookie規制の影響を最小限に抑えられます。

アドエビスでは、コンバージョンAPIツール「CAPiCO」を提供しています。製品紹介をまだご覧になっていない方は、下記よりぜひ一度ご覧ください。

月額1.5万円でだれでもカンタンに使える!
コンバージョンAPIツール「CAPiCO」とは

3-3. 保有している利用者情報の状況を把握する

規制が厳しくなる3rd Party Cookieに対し、自社で集めた1st Party Cookieは今後も利用可能です。

1st Party Cookieを活用するには、既に保有している利用者情報の把握が急務となります。現在保有している利用者情報はプライバシーの観点で問題がないか、どこでデータを管理しているのか、どこまでの利用が消費者から承認されているかを再確認しましょう。

また、(1st Party Cookieを含む)Cookieデータが個人情報保護法上の「個人情報」(「個人データ」)に該当する形で取り扱われているかを確認する必要があります。個人情報保護法では、個人データの第三者提供には提供元の事業者による本人の同意の取得が必要となります。

一方、既に述べた通り、個人関連情報を第三者に提供し、提供先の事業者において当該個人関連情報を個人データとして取得する場合には、提供先で同意を取得しなければならない(ただし、提供元による同意取得の代行も可能)ほか、提供元においても同意が取得されているかを確認しなければならないからです。

同時に、自社内でCookieを含む利用者情報の管理体制を整え、個人情報の漏えいや滅失などが起こらないようなセキュリティ対策も必要です。

3-4. プライバシーポリシーを作成してユーザーに周知する

保有している利用者情報の把握や管理体制が整ったら、社内でプライバシーポリシーを作成し、サイト内で周知することをおすすめします。

サイトや企業として取得する利用者情報にはどのようなものがあるかを把握し、利用目的(何に使用するのか)を明確にして文書化します。利用者情報を第三者提供する場合の理由や、共同利用する可能性がある利用者情報なども、共同利用について定める法の要件に従って明確にすると良いでしょう。

まとめ

ここまで解説してきたように、3rd Party Cookieは既に法改正やブラウザの自主規制により活用できないケースが出ており、すでに多くのマーケターに実感されています。

さらに、各ブラウザの動きによっては、今後さらなる影響が出る可能性もあります。
このまま3rd Party Cookieを活用したWeb広告やトラッキング計測を続けても、将来的に活用が困難になるかもしれません。

しかし、自社サイトのドメインから発行される1st Party Cookieについては、引き続き活用が可能です。3rd Party Cookieから脱却するために、1st Party Cookieの活用をぜひご検討ください。

\ウェビナーアーカイブ/
今さら聞けない!?Cookie規制の影響とアドエビスの対策を30分で総整理

関連記事をみる