顧客解像度を高め再現性ある施策を展開し続ける分析方法とは

この記事では、アトリビューションを加味した分析により顧客解像度が高まり、再現性ある施策の考案に繋がったSpeee様の事例について、レポートの作成方法に重きをおいてご紹介します。

皆さまにも本事例を再現いただけると嬉しいです。

※元の事例記事から割愛している部分もございますので、元の事例をご覧になりたい場合は、こちらをご参照ください。
※ご案内するExcelの操作につきましては、ツール側の仕様変更などにより保証はできませんので、ご参考までとご認識ください。

1. こんな方にオススメ

  • CPAのみの施策評価に限界を感じている方
  • 認知施策を実施している方
  • 顧客にどのメディアでどのようなクリエイティブ・訴求でアプローチしていくことが有効なのかを落とし込みたい方

2. 顧客解像度が高まり、再現性ある施策の提案に繋がった事例

2-1. 当時の仮説

認知目的でYouTube広告やX(Twitter)広告を配信していたこともあり、これらの施策は、ユーザーがサービスを知るきっかけ(初回接触)となり、認知施策に接触したユーザーは、その後ディスプレイ広告やリスティング広告に接触しCVが発生していくと考えていました。

仮説通りにユーザーが行動しているかを、アドエビスのコンバージョンフロー、コンバージョン属性画面のデータを元に集計しました。

2-2. 広告媒体の特性把握に成功した分析レポート

1つ目は、ユーザーがCVするまでに接触した広告媒体ごとの特性を分析するレポートです。YouTube広告やX(Twitter)広告が認知に貢献しているかを含め、広告媒体別に、CVに至るまでの接触回数を確認しました。

結果、以下であるということが判明しました。

  • X(Twitter)広告は、初回/直接が同媒体の比率が高いかつ平均接触回数が少ないため、X(Twitter)広告単体のみで認知~獲得まで完結している。
  • YouTube広告は、平均接触回数が多いが、初回/直接が同媒体の比率が低いため、間接効果に寄与している。
  1. 広告経由CV:各媒体のラストクリックCV数
  2. 接触回数2回以上:各媒体を経由してCVしたフローの内、接触回数2回以上のフローの数
  3. 接触回数2回以上でCVした比率:No.2 ÷ No.1 ×100
  4. 2回以上の平均接触回数:接触回数2回以上のフローに絞った時の平均接触回数
  5. 2回以上でCVした内 初回接触も同媒体:接触回数が2回以上であるフローの内、初回接触と直接効果が同じ媒体である数
  6. 初回/直接が同媒体の比率:No.5 ÷ No.2 ×100

≪作成方法≫

作成難易度:中
作成目安時間:30分

※キャプチャはすべてダミーデータです。

(1) 管理画面[広告>コンバージョン属性]から必要データをダウンロード
  1. 「カレンダー」ボタンから該当期間を設定
  2. 「項目切替」から「CV名、接触回数、直接効果、初回接触、媒体種別」を指定
  3. 「フィルタ」から適宜必要なデータに絞る
    (例)対象コンバージョンを「購入完了」のみに指定する等
  4. 「エクスポート」からデータ出力
(2) レポートの作成

No.1 広告経由CV

  1. 管理画面[広告>カテゴリ分析]にて該当期間を設定
  2. 「項目切替」から集計軸を「媒体種別」のみ、表示項目は「CV(合計)」を指定
  3. 「フィルタ」から適宜必要なデータに絞る(例)対象コンバージョンを「購入完了」のみに指定する等
  4. 「エクスポート」からデータ出力

No.2 接触回数2回以上

  1. (1)で出力したデータを、Excel上のフィルタで接触回数が2回以上のデータに絞る
  2. 接触回数が2回以上のデータで下図のようにピボットテーブルを組む
    →各媒体の総計を確認する

No.3 接触回数2回以上でCVした比率

  1. No.2 ÷ No.1 ×100を算出する

No.4 2回以上の平均接触回数

  1. No.2のピボットテーブルに「平均接触回数」の列を追加し、媒体ごとに「(2×接触回数2のCV数+3×接触回数3のCV数+・・・+11×接触回数11のCV数)÷総計」を計算する

No.5 2回以上でCVした内 初回接触も同媒体

  1. (1)で出力したデータを、Excel上のフィルタで接触回数が2回以上のデータに絞る
  2. 接触回数が2回以上のデータで下図のようにピボットテーブルを組む
    →列、行ともに同じ媒体名である数を確認する

No.6 初回/直接が同媒体の比率

  1. No.5 ÷ No.2 ×100を算出する
(3)任意の体裁に整形する
  1. No.1~6を1つの表にまとめ、整形する

2-3. 勝ちパターン発見に繋がった分析レポート

2つ目は、媒体ごとにユーザーがどのような消費行動を起こしやすいかを分析したレポートです。

初回に接触した広告と、最後に接触した広告の組み合わせを確認しました。

結果、CVユーザーの行動分類を「ジャーニー型消費行動」と「パルス型消費行動(※)」の2種類に分けられることが判明しました。

≪作成方法≫

作成難易度:中
作成目安時間:30分

(1) 管理画面[広告>コンバージョンフロー]から必要データをダウンロード
  1. 該当期間を設定
  2. 「項目切替」から「CV名、直接効果、初回接触、媒体種別」を指定
  3. 「フィルタ」適宜必要なデータに絞る
    (例)対象コンバージョンを「購入完了」のみに指定する等
  4. 「エクスポート」からデータ出力
(2) レポートの作成
  1. (1)で出力したデータで図のようにピボットテーブルを組む
    →列、行ともに同じ媒体名である数を確認する

(3)任意の体裁に整形する
  1. 条件つき書式からセルに色を付けるなどして整形する

2-4. その後の分析や成果

ジャーニー型消費行動とパルス型消費行動ごとに、有効な広告媒体やクリエイティブが異なることもわかりました。
例えば、パルス型消費行動が発生しやすい媒体におけるクリエイティブには特定の要素が不可欠であるという気付きを得られました。

≪確認方法≫

  • 広告登録時、クリエイティブを判別できる名称やクリエイティブの要素を登録しておく。
  • 広告>カテゴリ分析or詳細分析にて、フィルタでパルス型消費行動が発生しやすい媒体に絞る。
  • どのようなクリエイティブの要素が含まれていると成果が良いのか確認する。

ジャーニー型消費行動においては、動画広告を視聴された方は、その後特定の期間内においてSNSで複数回ディスプレイ広告をクリックされ、検索行動を誘発できるという勝ちパターンを発見できています。

≪確認方法≫

  • 広告>コンバージョンフローにて、フィルタで初回接触を動画広告に絞る。
  • どのような媒体に接触しているのか確認する。

顧客の解像度が高い状態でデジタルマーケティングにおける戦略の立案・提案をすることができるため、単純にCPAのみで施策の良し悪しを判断している場合に比べ、施策実施時の目標を達成できる確率が向上しております。

3. おわりに

今回ご紹介したのは、レポートにより媒体ごとのユーザーの消費行動に特徴があることが判明し、クリエイティブや訴求の改善に活かせたという事例でした。
自社のデータでも見てみたいと思われた方は、ぜひ一度レポートを作成してみてくださいね!

株式会社Speee

https://speee.jp/

株式会社Speee 田中 様

2019年Speee入社。
トレーディングデスク事業部の広告運用者として総合EC、NPO法人、不動産など幅広い業界を担当。その後、コンサルタントも兼務し、広告運用だけでなくデジタルマーケティングの戦略策定や定量調査、CROやクリエイティブPDCAの推進を一気通貫で実行。

株式会社Speee 大間 様

2020年Speee入社。
トレーディングデスク事業部の広告運用者として、リード獲得/NPO法人/ECなど幅広い業界業種を担当。その後、プランナーとして、デジタルプロモーション戦略戦術策定やクリエイティブPDCAの推進を担当

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